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2023年度 国際交通政策(夏学期開講)
概要
今日世界は、交通や情報通信技術の発達、市場開放などを背景に、様々な分野でグローバル化が進展する中で、米・中の対立、格差や分断の拡大、地球環境問題などに直面し、一層不確実性を増している。
さらに、2020年初来の新型コロナウイルスのパンデミックによる移動制限により、国際間の旅客交通はかつて無い大幅な需要減に直面し、交通・観光産業の経営に甚大な影響を与えている。また、国際間の物流についても、グローバルサプライチェーンの脆弱性のリスクや影響が明らかとなった。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻は、航空貨物輸送をはじめ国際物流に混乱をもたらし、サプライチェーンの安定化が喫緊の課題となっている。
一方で、長期化するコロナ禍を引き金に、社会の様々な場面で価値観の転換や行動変容が進みつつあり、最新のデジタル技術等の活用と相俟って、「モビリティ」自体が大きな変革の渦中にある。
こうした状況の下、人口減少と超高齢化が同時進行し、低い経済成長が続く我が国が、今後とも持続的な成長と豊かな国民生活を確保するためには、国際交通分野が、ポストコロナの世界をしっかりと見据えて、国際社会と競争、連携しつつ、重要な役割を果たすことが期待される。同時に、諸課題の克服を可能とする政策対応が急務となっている。
このような観点から、本科目では、我が国の将来を見据えた望ましい「国際交通政策」の在り方について、政策の現状や交通・運輸の実態を踏まえつつ、講義及びディスカッション並びに現地視察を通じて考察を深める。
プログラムの目的
国際交通分野の各界トップによる講義と、講師・教員や多様な研究科の学生とのディスカッション を通じて、交通・運輸の実態を踏まえた政策のあり方について考察を深めます。(国際交通政策は科学技術イノベーション政策の科学 (STIG) 教育プログラム選択科目です)
授業時間
火曜5限 16:50~18:35(7/4及び7/11は、4限及び5限)
授業方式
本郷キャンパス 国際学術総合研究棟 4階SMBCホールにおける対面授業
対象
本学大学院生(本学学部生の聴講も歓迎)
担当教員
公共政策大学院 宿利客員教授・大橋教授・軸丸特任教授
問合せ先
TTPU事務局 ttpu@pp.u-tokyo.ac.jp
開講スケジュール
日程 | 講義内容 | 講師 |
---|---|---|
4/11 | イントロダクション 交通における経済学的な視点 | 宿利正史(一般財団法人運輸総合研究所会長、東京大学公共政策大学院客員教授)、大橋 弘(東京大学公共政策大学院院長) |
4/18 | 航空政策の現状と展望 | 久保田 雅晴 氏(国土交通省 航空局長) |
4/25 | 国際交通政策の外縁 / 国際交通インフラの 海外展開 | 藤井 直樹 氏(国土交通事務次官) |
5/9 | 鉄道150年を振り返り、未来を展望する | 森地 茂 氏(政策研究大学院大学 客員教授・名誉教授) |
5/16 | 港湾政策の現状と展望 ※横浜港現地視察 | 堀田 治 氏(国土交通省 港湾局長) |
5/23 | 外航海運のダイナミズムと今後の展望 ~定期船事業を核にして~ | 内藤 忠顕 氏(日本郵船㈱ 取締役会長) |
5/30 | ポストコロナのエアライン戦略 ※羽田空港現地視察 | 平子 裕志 氏(ANAホールディングス㈱取締役副会長) |
6/6 | 港湾政策の現状と展望 ※羽田空港現地視察 | 田村 明比古 氏(成田国際空港㈱ 代表取締役社長) |
6/27 | 国際複合一貫輸送の現状と展望 | 石井 孝明 氏(日本通運㈱ 特別参与) |
7/4 (4限) | 飛躍する海外鉄道事業 | 網谷 憲晴 氏(㈱日立製作所執行役常務 鉄道ビジネスユニットDeputyCEO) |
7/4 (5限) | コンセッションによる空港経営の改革 | 永竿 哲哉 氏(福岡国際空港㈱ 代表取締役社長執行役員)、蒲生 猛 氏(北海道エアポート㈱ 代表取締役社長) |
7/11 (4限) | 水素社会の実現 国際海運の脱炭素 | 橋本 康彦 氏(川崎重工業㈱代表取締役社長執行役員)、大坪 新一郎 氏(東海大学海洋研究所 特任教授/(一財)運輸総合研究所客員研究員) |
7/11 (5限) | ポストコロナの鉄道事業が目指すもの | 冨田 哲郎 氏(東日本旅客鉄道㈱ 取締役会長) |