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2025年度 国際交通政策(夏学期開講)
概要
今日世界は、交通や情報通信技術の発達、市場開放などを背景に、様々な分野でグローバル化が進展する中で、米・中の対立、格差や分断の拡大、地球環境問題などに直面し、一層不確実性を増している。
さらに、2020年初来の新型コロナウイルスのパンデミックによる移動制限により、国際間の旅客交通はかつて無い大幅な需要減に直面し、交通・観光産業の経営に甚大な影響を与えている。また、国際間の物流についても、グローバルサプライチェーンの脆弱性のリスクや影響が明らかとなった。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻は、航空貨物輸送をはじめ国際物流に混乱をもたらし、サプライチェーンの安定化が喫緊の課題となっている。
一方で、長期化するコロナ禍を引き金に、社会の様々な場面で価値観の転換や行動変容が進みつつあり、最新のデジタル技術等の活用と相俟って、「モビリティ」自体が大きな変革の渦中にある。
こうした状況の下、人口減少と超高齢化が同時進行し、低い経済成長が続く我が国が、今後とも持続的な成長と豊かな国民生活を確保するためには、国際交通分野が、ポストコロナの世界をしっかりと見据えて、国際社会と競争、連携しつつ、重要な役割を果たすことが期待される。同時に、諸課題の克服を可能とする政策対応が急務となっている。
このような観点から、本科目では、我が国の将来を見据えた望ましい「国際交通政策」の在り方について、政策の現状や交通・運輸の実態を踏まえつつ、講義及びディスカッション並びに現地視察を通じて考察を深める。
プログラムの目的
国際交通分野の各界トップによる講義と、講師・教員や多様な研究科の学生とのディスカッション を通じて、交通・運輸の実態を踏まえた政策のあり方について考察を深めます。(国際交通政策は科学技術イノベーション政策の科学 (STIG) 教育プログラム選択科目です)
授業時間
火曜5限 16:50~18:35(5/13は、1限)
授業方式
本郷キャンパス 国際学術総合研究棟 4階SMBC Academia Hallにおける対面授業
対象
本学大学院生(本学学部生の聴講も歓迎)
担当教員
公共政策大学院 宿利客員教授・大橋教授・小椋特任教授・大沼客員教授
問合せ先
開講スケジュール
ポスター
| 日程 | 講義内容 | 講師 |
|---|---|---|
| 4/8 | イントロダクション 国際交通政策における経済学的な視点 | 宿利正史(公共政策大学院 客員教授)、大橋 弘(大学院経済学研究科 教授) |
| 4/15 | アジアの大都市の発展と鉄道整備 | 森地 茂 氏(東京工業大学・東京大学・政策研究大学院大学 名誉教授) |
| 4/22 | 国際交通政策の輪郭 ~交通インフラの海外展開と経済安全保障を中心に~ | 水嶋 智 氏(国土交通省 国土交通審議官) |
| 5/13(1限) | 戦後から続く国際航空の基本枠組の成立と、ICAOの今日的役割について | 大沼 俊之 氏(公共政策大学院 客員教授 / 外務省国際民間航空機関日本政府代表部 特命全権大使) |
| 5/20 | 外航海運のダイナミズムと今後の展望 ~定期船事業を核にして~ | 内藤 忠顕 氏(日本郵船㈱ 特別顧問) |
| 5/27 | 造船・海事産業の国際競争力強化 | 金花 芳則 氏 ((一社)日本造船工業会 会長 / 川崎重工業㈱取締役会長)、大坪 新一郎 氏 ((一財)運輸総合研究所 特任研究員 / 東海大学 特任教授) |
| 6/3 | 海上保安庁の使命と国際海洋秩序の維持 | 石井 昌平 氏(前海上保安庁 長官) |
| 6/10 | 空港の過去、現在、そして未来 ※成田空港現地視察 | 田村 明比古 氏(成田国際空港㈱ 代表取締役社長) |
| 6/17 | 我が国の港湾政策 ~サプライチェーンの強靭化とDX・GXの推進~ ※横浜港現地視察 | 稲田 雅裕 氏(国土交通省 港湾局長) |
| 6/24 | 総合鉄道メーカーのグローバル展開 | 岩崎 充雄 氏(㈱日立製作所 鉄道ビジネスユニット Head of Japan Business) |
| 7/1 | グローバルサプライチェーンへの価値貢献 ~フォワーダーへの期待とその役割~ | 古江 忠博 氏(NIPPON EXPRESS ホールディングス㈱ 専務執行役員 グローバル事業本部長) |
| 7/8 | 我が国の航空事業の戦略と展望 ※羽田空港現地視察 | 平子 裕志 氏(ANAホールディングス㈱ 特別顧問) |
| 7/15 | ポストコロナ時代の鉄道経営 ~これからの企業経営とは~ | 冨田 哲郎 氏(東日本旅客鉄道㈱ 相談役) |