キャンパスアジアレポート
- OVERVIEW double-degree
- 2019年08月From: TOKYO
- 坂本賢太郎
何かと日本との問題が絶えない国といえば中国と韓国を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。とはいえ、もはや日本が多分野にわたって中国・韓国と切っても切れない関係にあるのは周知のとおりです。みなさんの政治思想がどうであろうと、中国・韓国が好きだろうと嫌いだろうと、政治や経済・ビジネス、さらには学術や文化の世界において、隣国の人々との戦略的な付き合い方を考えずに成果を上げることは難しくなってきています。とはいえ、そんな戦略的な付き合い方なんてものは、『中国人との付き合い方』みたいな本をいくら読んでも得られるものではなく、いざそれが必要な時になって慌てて身につけようとしても、付け焼刃で身につくものではないのです。
みなさんも思ったことはありませんか?中国や韓国の対日政策に納得できない。。。中国人や韓国人の親しい友人はいるけど、遠慮して政治の問題を突っ込んで議論したことはない。。。結果、いざそういう議論が必要な状況になってもうまく対処できない等々。ところが、キャンパスアジアでは中国や韓国の最高級のエリートたちとそうした話題を存分に議論する機会があります。多くの日本人ですら「これはちょっと。。。」と思うような過激とされる観点(いわゆる靖国史観など)をわざと中国・韓国のエリートたちにぶつけることもできます。一応、各国の最高峰の大学の学生たちが集まっているわけですから、そうした議論が感情的にヒートアップして、ただの怒鳴り合いになる、なんてことはまずありません(少なくとも私は経験していません)。議論は熱くはなりますが、お互いの腹の中を開示しあうのですから、終わればむしろ仲が良くなるくらいです。東アジア版松下村塾とでもいう感じでしょうか。当然のことながら、自分の意見も大いに批判されます。例えば、日本や韓国など民主主義国の人間は漠然と「民主主義や言論の自由は絶対必要だ」なんて思っていますが、中国のエリートたちは本当にそうなのかと突っ込んでくるでしょう。それもかなり洗練された論理を用いてです。そうした議論を通して初めて、中国の人たちの観点を深いレベルで知ることができますし、自分の意見の多くが実は結構浅く、単なる誰かの受け売りだと自覚することになるでしょう(民主主義を否定するわけではありません。むしろ、こうした議論を通して、今一度、なぜ民主主義が大事なのかを哲学的なレベルから考えなおす機会があるということです)。
ですから、私はむしろ中国ないし韓国にあまりいい感情を持っていない人にこそ、参加してほしいと思います。将来、社会において重要な地位を占めた時に、なんとなくの嫌悪感情や曖昧な情報だけで隣国との付き合いをしてしまうと、足元を掬われてしまうかもしれません。そもそも、日本では、エリートでさえ隣国のことをそこまでよくわかっていない人が多い現状があります。中国の決算システムが日本より進歩していることに未だに驚く人がいる始末です。専門家とまではいかなくとも、隣国に関する多少の知識と経験を積み重ねないと、それこそ先の大戦の日本のように、イデオロギーと楽観的予測に任せて行動し、とんでもない結果を招いてしまうこともありえます。現在、中国・韓国に対する世論を見るにつけ、それが現実になるのではと多少の不安を抱かざるを得ません。
ちなみに、中国・韓国で作ることのできるコネには期待してもいいでしょう。政治家・起業家・投資家・学者の卵がごろごろしていて、思わぬところで人間関係が役立ちます。自分も学生投資家の友人から、中国の5G技術に関するいい儲け話を教えてもらったことがありました(みなさんがやるときは自己責任で)。修了後は、あるシンクタンクで働く予定なのですが、そこは北京大での自分の指導教授が深い関係を持っている機関でして、就職後もコネが活きてきています。さらには、中国を中心にアジアの台頭が叫ばれる中、それぞれの出身国で重要な地位を占めるであろう友人たちとの人脈が、二三十年後にどう活きてくるのか楽しみです。思えば、こうした小さな交流の積み重ねこそが、国家間関係が多少悪化しようとも、東アジアにおいてお互いの国を安全に行き来できる環境を作り出しているのではないでしょうか(世界の他の地域ではそれができず、結局武力衝突を起こしてしまっているケースが多々あるのはみなさんご存じのとおりです)。いっぱしの自信を持って隣国の人々と付き合えるようになりたい人は、ぜひご参加ください!