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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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パリでの一年

Yujiro Suzuki (from Japan)

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私にとって渡仏は初めての体験でしたが、言葉のわからないまま出発したために、留学当初は生活面で苦労する事が多かったように思います。スーパーでの買い出しや郵便局でのやり取りも一苦労でした。1ヶ月もすると日常生活にもだいぶ慣れることができました。学業以外の時間では歴史と伝統の街パリを堪能する事ができました。パリでまず印象的であったのが空の広さです。パリ、特に環状道路(昔の城壁)の内側には建築物の高さ制限があるために、大都市の中心に居乍ら広い空を堪能する事ができます。セーヌ川に架かる橋の上ではより一層それが感じられ、清々しい気持ちになりました。パリの中心街と言われる1区から7区辺りの建築物はどれも荘厳な雰囲気を醸し出しており、その外見が大きな協会から小さなブティックまで一貫しているところに、街の歴史を感じる事ができました。カフェなどが何件も立ち並び、皆がそこでゆっくりと朝食をとっているという風景はパリならではのものだったように思います。日曜になれば、パリのあちこちでマルシェが開かれ、そこで生鮮食品から日用雑貨に至るまで様々なものが売られています。このマルシェで食料を調達している人も多く見受けられました。さらにパリで欠かす事のできないのが美術館や博物館です。フランスでは学生かつ25歳以下であれば国立の美術館等は全て入館無料で、ルーブルやオルセーのような大美術館をはじめ、オランジュリーなどの小さめの美術館、戦士博物館に至るまで重厚な文化や歴史に触れることができました。

パリ政治学院公共政策大学院は1学年40人程で、出身国は30ヶ国以上に上ります。基本的に一つの国から一人来ているという状況でした。これほど多国籍な場に身を置いたのは、過去の留学経験なども含めて初めてでした。多種多様な職業経験やバックグラウンドを持っている人たちと学校生活を共にし、多様な価値観の仲間たちと議論し切磋琢磨し合えたことは、非常に刺激的で、貴重な留学 経験となりました 。学生も2年間パリ政治学院に所属している生徒、半期の交換留学生、ダブルディグリー(二重学位)でパリ政治学院に所属している者など、非常に国際的な大学院だと感じました。私は東京大学公共政策大学院からパリ政治学院へのダブルディグリー1期生として留学し、パリ政治学院公共政策大学院の2年生に所属していました。修士2年生ではCapstoneという修士プロジェクトにフォーカスする事になります。Capstoneでは実社会で活動している政府機関、NGO団体、民間企業をクライアントとして持ち、1年間調査研究を行うものです。2年次にはCapstone以外にも専攻テーマがあり、それぞれのテーマに沿った授業を履修する事ができます。私はEU Governanceという専攻で、主にEUの法律、経済、政策形成などについて学びました。

私はCapstoneプロジェクトとしてOECDと共に研究活動をする機会を得ました。プロジェクトを始動、推進していくことをはじめ、常に未経験の新しいタスクと向き合わなければならず、今までで最大の挑戦であったと感じています。周りのチームメンバーが皆年上であったこともいい刺激になりました。この修士プロジェクトでは、OECDと共にLand Use Policy(土地利用政策)について1年間研究を行いました。土地は人間の全ての経済活動、社会活動における基盤であるにもかかわらず、未だ包括的な国土政策を打ち出す国がない現状を受け、OECDが5ヶ年プロジェクトを2012年12月に始動。そのパイロットプロジェクトとして我々のチームはアメリカとオランダにて土地利用政策に関する研究を行い、彼らのプロジェクトを推進しました。この修士プロジェクトでは、以下のようなClient Basedプロジェクトのプロセスを身に付けることができました。クライアントが提起した問題を研究・文献調査等で理解を深め、再定義し直す。再定義した問題を分析するための新たなフレームワークを作成し、それに基づいて仮説を立て、現地調査やインタビュー、ヒアリング、データ分 析を用いて検証をする。検証結果から最終提案書を作成し、プレゼンテーションを行い、クライアントに貢献する。この一連のプロセスを習得できた事は、今後のキャリアにおいても大変役立つと考えています。また、このプロジェクトを通して非常に広い視野を持つ事や、チーム活動とそのマネジメントについても学ぶ事ができたと感じています。クライアントに対する最終プレゼンテーションの後、我々の研究が実際にOECDのアジェンダ取り入れられていることを自分の目で確認しました。国籍、言語、宗教、文化、価値観、これら全てが異なるメンバーと、一つのプロジェクトを始動から試行錯誤しながら完成まで高め、社会に影響を与えることができたという達成感は非常に感慨深く意義深い経験でした。

今回の留学では勉学のみならず、フランスの、そして学友の多様な文化や価値観に触れることができ、非常に貴重な体験ができたと感じています。この経験は必ず今後の仕事・キャリアに活かすことができると考えています。