ヨーロッパ法

担当教員

伊藤 洋一

配当学期・曜日・時限

夏学期 月曜 2限

内容・進め方・主要文献等

東西冷戦の終結とともに,ヨーロッパ連合は,安全保障をも視野にいれた広い権限を持つ地域的国際組織として,今や国際経済のみならず国際政治においても大きな意義を持つ存在となった.

また,ヨーロッパ統合の進展とともに,ヨーロッパ共同体法の重要性は,近年増加の一途をたどっており,特に,EC法の基礎的知識は,EC加盟国の国内法理解に際しても今や不可欠となっている.

EC法は,従来の古典的国際法とどのように異なるのか,加盟国の国内法との間にどのような影響関係があるのか,「民主的」な国際組織の設計はどのようなものであるべきかといった問題は,学問的にも重要な理論的問題を提起している.

EC法の展開は早い.従来のEC・EU条約に代わる新たなEU憲法条約が,既に2004年10月末に調印されたものの,2005年5?6月に行われたフランス・オランダにおける国民投票で,批准反対論が多数を占めた結果,EU憲法条約がそのまま発効することは絶望視されこととなった.しかし,EU拡大方針に変更が無い限り,いずれにせよ現行基本条約の改正は不可欠であることに鑑みれば,EU憲法条約の起草過程においてなされた議論は依然として,その意義を失っていないと思われる.そこで,EU憲法条約による改正点をも織り込みつつ,可能な限り最新の動向に触れながら講義を行うことにしたい.

EC法の対象分野は,共同体管轄事項が拡張されてきた結果,今や多岐にわたっているが,EC組織法の理解は,個別のEC実体法理解のため不可欠の前提となる.本講では,EC法の総論部分にあたる組織法,具体的には,ECの機構,法源,争訟制度等について順次講じる予定である.

教材等

条約資料集を配布する.その他の教材については,随時指示・配布する.

授業の構成

第1回 イントロダクション:ヨーロッパ法研究の意義と方法.
第2回 ヨーロッパ統合の歴史:ヨーロッパ統合の歴史的背景・沿革を理解させる.
第3回 ECとEU:EUの法的構造の概要を理解させる.
第4回 ECの機関:EU・ECの機関の構成・概要を理解させる.
第5回 決定過程と執行過程:EU・ECの決定・執行過程を理解させる.
第6回 共同体権限と加盟国権限:EU・ECにおける加盟国とEC機関の管轄権配分の問題を理解させる.
第7回 ECの法源:EC法源の種類を理解させる.
第8回 EC法の直接適用性(I):EC法の直接適用性を理解させる.
第9回 EC法の直接適用性(II) :EC法の直接適用性に関する国内判例の状況を理解させる.
第10回 EC法の優越(I) :EC法の優越原理を理解させる.
第11回 EC法の優越(II) :EC法の優越原理に関する国内判例の状況を理解させる.
第12回 EC争訟制度の概要(I) :争訟制度の概要を理解させる.
第13回 EC争訟制度の概要(II) :争訟制度の概要を理解させる.
第14回 筆記試験

成績評価の方法

筆記試験による

関連項目