事例研究(国際政治経済)

担当教員

樋渡 展洋

配当学期・曜日・時限

夏学期 月曜 2限 
夏学期 金曜 3限 

内容・進め方・主要文献等

この事例研究では、政策分析の専門家として国際政治経済の本格的かつ実証的リサーチペーパー、ワーキングペーパーを執筆して、その作業に必要な準備や調査、それに伴う問題を体験・実践する。

高度に実証的な政策分析ペーパーを書く過程を(1)有意な問題設定、(2)先行研究サーベイ、(3)先行研究に基づいた仮説とリサーチ・デザインの確定、(4)仮説に沿ったデータ・資料の収集、処理、整理、(5)ペーパー執筆、とすると、この事例研究では、この過程を各自またはグループで、参加者全員の相互助言や批判を受けながら行なう。焦点は、ペーパー執筆の過程を実践し、その技術を修得することである。他演習やリサーチペーパー執筆の準備としてこのゼミを使うことは許容されるが、テーマは国際政治経済分野に限定される。

国際政治経済の履修は望ましいが要件ではない。進め方は、下記のように、リサーチ・デザインに関する文献を輪読しつつ、各自・各グループは作業仮説とリサーチ・デザインを確定する。その後、毎回2名・グループ程度の割合で順番にデータ・資料の収集、処理、整理について進展報告を行い、皆の批判と助言を受けながらペーパーを完成させる。

具体的な演習予定は―
(1)週1〜5   リサーチ・デザイン、方法論に関する文献輪読
(2)週3     ペーパー題目の提出
(3)週6〜13  各自、各グループのデータ集、資料集、データ処理の進展報告
(4)夏休み中   ペーパーの執筆、完成
(5)9月半ば   ペーパー(含むデータ集、資料集)提出と報告会

参加希望者は必ず事前に次の課題を準備する必要がある。

(1)International Organization, World Politics, International Studies Quarterly, Pacific Reviewなどの学術誌(東大のOPACで検索可能)のここ5〜6年の目次を見て、自分の関心に最も近い論文数点を論文のabstractを参考に選択すること。その論文がペーパー作成の際の先行研究サーベイの突破口や分析方法のテンプレートの役割を果たすような、つまり作成ペーパーのモデルとなる論文を探すこと。

(2)東大のOPACのsocial science citation indexやgoogleのkey word 検索を利用して、国際経済機関(IMF、OECD、世銀、BIS)や経済研究機関(NBER、CEPR)、有名大学(ハーバード大学のケネディスクールなど)のウエッブサイトなどから(1)で選んだテーマに関連する実際のリサーチペーパー、バーキングペーパー、報告書をダウロード・入手し、政策分析ペーパーが事実やデータに基づいた高度に実証的なものであることを理解すること。

初回の集まりに(1)(2)の論文・ペーパを持参のこと。

(尚、上記の作業はウエッブ上でできるが2〜3日かかるのでそのつもりで準備する必要がある。不明な点があればhiwatari@iss.u-tokyoに早めに連絡して相談すること。)

教材等

初回にシラバスと参考文献を配布する。

1. Gary King, Robert O. Keohane, and Sidney Verba, Designing Social Inquiry (Princeton U.P. 1994)
(『社会科学のリサーチ・デザイン』真渕勝監訳、勁草書房)
2. Henry E Brady and David Collier (eds.), Rethinking Social Inquiry (Rowman & Littlefield, 2004)
3. William M. K. Trochim, The Research Methods Knowledge Base, 2nd edition (Atomic Dog Publishing, 2001) 他

成績評価の方法

平常点と報告点、およびレポート評価点

関連項目