ヨーロッパ統合と法1

担当教員

伊藤 洋一

配当学期・曜日・時限

夏学期 水曜 4限

内容・進め方・主要文献等

内容
ヨーロッパ統合の大きな特色は,「法による統合」であることである.その結果,ヨーロッパ各国では,国内法の「ヨーロッパ法化」が近年顕著な現象となっており,EC法の影響を無視して加盟国の国内法を研究することは,次第に困難となってきている.
しかし,ヨーロッパ法の形成は,決してEC裁判所側から一方的になされてきたのではなく,加盟国の国内裁判所との間の相互的影響のもとに形成されてきたものである.日本におけるヨーロッパ法の文献,講義では,ヨーロッパ側の視点からのみ叙述がなされがちであるが,現実には,加盟国側の動向こそヨーロッパ法の実効性を左右するものであることを忘れてはならない.
今年度は,加盟国側が,EC法の国内施行義務につきどのように対応しようとしているかを,フランス国務院の上記研究報告書を素材として検討することにしたい.同報告書は,EC法の影響増大現象の実態を分析するのみならず,そのような現象に対する加盟国側の対応策を提言する興味深い文献だからである.

進め方
本演習では,上記フランス語文献を,特に参加者の分担を事前に決めることなく,講読する.
上記文献は,その内容上,ヨーロッパ法に関する一応の知識(法源,政策決定過程等)を前提して書かれているので,できればヨーロッパ法の授業に出席するか,適当な概説書を予め読んだ上で,本演習に出席することが望ましい.
なお,フランス語文献読解の訓練も,本演習の目的の一つである.フランス語を読む意欲のある者の参加を希望する.

履修上の注意
なお、「ヨーロッパ統合と法」(2006、2007年度開講)とは別の内容であり、当該科目を履修済みでも、本科目を改めて履修してよい。

教材等

Conseil d’Etat (France), Pour une meilleure insertion des normes communautaires dans le droit national, Paris, Documentation francaise, 2007, 87 p. (開講時に必要部分のコピーを配付予定)

成績評価の方法

平常点による

関連項目