事例研究(外交政策T)

担当教員

大島 正太郎

配当学期・曜日・時限

夏学期 木曜 4,5限

内容・進め方・主要文献等

1. 目標: 日本外交展開の『舞台』である、いわゆる国際社会(あるいは、『国際政治経済;International Political-Economy』) の“現実の姿”についての、より深い理解を図る。

2. 対象: そのため、先ず多国間経済外交の現状に焦点を絞り、世界貿易機関(WTO)の活動の実態を具体的事例(ケース)として取り上げ、そこに反映されている国際社会の現実の究明に努める。


3. 方法: 

A: 授業では、1)現場での経験を踏まえた実務家の説明、2)学生による特定課題の調査報告、の双方を組み合わせた’双方向’の議論を進め、その上で 3)後半には、模擬多国間交渉を試み、交渉に作用する『力学』(その背後にある各国各地の利害)の理解に努める。
B: 講義項目として、毎回、現在のWTO、広くは世界貿易にまつわる主要トピックを取り上げ、あらかじめ割り振った学生からの報告を加え討論を行う。
C: 参考文献、教材としては、原典に当ることを基本とする。WTO文書その他国際機関、各国政府の基本文書を英語で読みこなすことが前提。具体的には各課題ごとに指定する。

授業計画

以下は現時点での概略、順番等事情に様変更ありうべし
 
A はじめに、 

第一回   WTOの現場 
1)自己紹介 − 自分の「WTO」とのかかわり
                 「国際社会」とのかかわり − 地域別、問題別
2)国際貿易・多角的貿易体制 理論と実態
3)WTO 序論
I) 自由化推進
II) 紛争解決過程による規範的アプローチ

**  受講生の自己紹介
 受講生の調査・報告の課題としての主要貿易交渉主体の割り当てへの希望表明

第二回  「国際貿易」と「多角的貿易体制」の歴史的経緯
参考文献:World Trade Report 2007 (cf. WTO/ HP)
貿易の重要性:経済成長 自由市場
貿易TRADEの意味、重商主義・自由貿易の経済的背景
自由貿易の理論
貿易の実態
現在の世界経済構造・世界貿易{地図}
現在の貿易実態、実務
         理論と実態
                    戦後初期   GATTの設立
                    1995     WTO発足

**  受講生の貿易主体に対する割り当て

第三回  WTO 「世界貿易機関」 − 「世界」 「貿易」 「機関」
         〜 WTOの発足と特徴
         〜 交渉 と 紛争処理

         〜 WTO内の政治力学の変遷

第4回  主要貿易交渉主体とWTO (RTA / FTA)
(講義期間中に可能であれば、いずれかの国の交渉当事者による講義を企画)

         イ) 日本
         ロ) 米国 (含、NAFTA等)
         ハ) EU
         ニ) カナダ・豪州・NZ 
ホ) 中国・韓国・台湾・香港
         ヘ) インド(含SAARC)・パキスタン
         ト) ASEAN・APEC
         チ) ブラジル、アルゼンチン、メキシコ以下中南米 (含、メルコスール) 
         リ) 中東 (エジプト、トルコ、イスラエル) GCCとOPEC
         ヌ) アフリカ LDC (バングラデシュ等)
                    
B   多角的交渉の事例 (その1 交渉の舞台)

第5回 1)    「シアトル閣僚会議1999」 失敗の原因
2)    「ドーハ閣僚会議2001」  成功の理由

第6回 3)    「カンクン閣僚会議2003」 失敗の理由
4)    「July Package 2004」 “ミニ奇跡”の軌跡

C 多角的交渉の事例 (その2 “ホットイッシューズ”)

第7回 1) AD問題: 交渉、紛争処理  (可能であれば、専門家による講義)

第8回 2) AG(農業)問題:
3) 「人の移動」問題: サービス交渉

第9回 4)  TRIPs:  TRIPsと薬品、 WIPO、 知的財産をめぐる今日の課題 (米中紛争など)
(可能であれば、専門家による講義)

D WTOを脅かすWTO外生的問題

第10回 1)  RTA ・ FTA: 理念、実態、交渉
ミニ事例: 米韓FTA協定

第11回  2) 環境問題、MEAs さらに、貿易以外の政策目標とWTO

E 「まとめ」 

第12回 模擬「(WTO)グリーン・ルーム」交渉
課題:次のラウンド交渉は如何に?

第13回  交渉結果の評価 (Post Mortem)

第14回    (予備日)

教材等

http://www.wto.org,www.oecd.org,www.unctad.org,
等等の主要世界貿易プレーヤーのHPから資料を指定、あるいは独自に活用。

成績評価の方法

学生の調査報告の内容・プリゼンテーション、模擬交渉への参加の態様などから評価。

関連項目