国際課税と国際私法(牴触法)

担当教員

石黒 一憲

配当学期・曜日・時限

冬学期  水曜 5 限

内容・進め方・主要文献等

 授業科目名に示された内容の、貿易と関税2005年9月号から2009年3月号(それ以降も継続中)に掲載された連載論文を素材とし、その中で参加者が興味を持ったトピックにつき、毎回報告をしてもらい、個別論点ごとに十分に議論を尽くすことを目的とする演習。論文執筆の訓練も兼ねて、報告用ペーパーは、完全な文章体で、注も厳密につけることが、当然に要求される。『完全双方向』で『全員参加の議論』を徹底するため、当該トピックについては、全員が事前に上記連載の該当部分を熟読した上でそのコピーを持参し、毎回のセッションに臨むことが、必須の条件となる。石黒の問題提起を受けた、自由でダイナミックな展開を、最も期待する。
なお、上記論文で扱っているトピックは広汎であり、狭義の国際課税との関係では、国際税務否認、借用概念と国際課税、シルバー精工事件と改正日米租税条約におけるライセンス課税ゼロ化の政策論的当否、税務執行共助と憲法(国境でメルトダウンする人権保障)、国際課税と国際送達、国際倒産と国際課税、等が主要なものとなる。だが、米国の覇権願望への批判的検討は随所に織り混ぜられており、それとの関係での『新古典派経済学批判』の部分については、『世界貿易体制の法と経済』(2007年・慈学社)として別途刊行している。また、『牴触法学』(国際私法・国際民事手続法・国家管轄権論)の最も深い部分での基本的視座についても、随所で言及がなされている。要するに、横糸としては、国際課税の現場で実際に生じた諸問題や、国際課税絡みでの日米摩擦等を分析しつつ、縦糸としては、すべての基軸たる『牴触法学』の純粋な理論的視座を、一層鮮明に示すことが、上記論文の基本となる。

教材等

貿易と関税([財]日本関税協会)の上記連載論文、石黒『世界貿易体制の法と経済』(2007年・慈学社)、同『国際私法(第2版)』(2007年・新世社)、同『国際民事訴訟法』(1996年・新世社)、同『新制度大学院用国際私法・国際金融法教材』(2004年・信山社)、等。

成績評価の方法

報告ペーパー・平常点(議論の発展への貢献度合い等の評価)による。

関連項目