国際開発政策

担当教員

澤田 康幸

配当学期・曜日・時限

冬学期 火曜2限 金曜3限

内容・進め方・主要文献等

「国際開発政策」講義は、発展途上国の経済を実証的・政策的に論ずる経済学の一分野である「開発経済学」の入門講義です。ただ、開発経済学と一言で表わしても、その内容はある低所得国の経済成長や開発援助・国際的な資金移動を議論するマクロ経済的な分析から、ある村落に居住する特定の農民の生活を分析対象とする非常にミクロ的な議論まで多種多様です。経済学の立場から言えば、マクロ経済学・ミクロ経済学を基本として国際金融論・国際貿易論・農業経済学・ゲームの理論・リスクと情報の議論・産業組織論・都市経済学等すべての分野の理論的成果を踏まえているといっても過言ではありません。さらには、理論的な帰結を検証するための標本調査とデータ収集(フィールドワーク)・そのデータを用いた計量経済学的な分析が集約的に行われてきた分野でもあり、最低限の計量経済学の知識は不可欠です。従って、開発経済学を学習するためには、経済学すべての分野の議論をある程度理解する必要があるということになります。「経済発展のための処方性を提供する」という実現の極めて政策的な要請にもかかわらず、開発経済学の学習はそもそも非常に困難であり、多大な努力を必要とするといえるかもしれません。本講義では、以下のようなトピックを順に扱うことによって、この様な実践的な分野に足を踏み入れる手助けとなる講義を目指しています。
第1部 経済発展をどう捉えるか      第4部 経済の構造変化
 1-1 経済発展とは何か          4-1 2部門モデル
 1-2 経済発展の源泉           4-2 都市インフォーマルセクター
 1-3 開発経済学の歴史          4-3 調整ゲームと累積プロセス
第2部 マクロ的側面第          5部 国際的側面
 2-1 ボーモルの三角形と経済成長論    5-1 発展途上国における保護貿易政策
 2-2 人口増加と低水準均衡の罠      5-2 発展の国際的波及
 2-3 成長と分配             5-3 経営収支と対外債務問題
 2-4 マクロ安定化政策          5-4 金融危機と通貨危機
第3部 ミクロ的側面
 3-1 農業部門における生産性向上
 3-2 貧困の諸概念
 3-3 リスクと共同体の役割
 3-4 人的資本:教育・健康と労働市場
3-5 政策介入の争点

教材等

教科書:講義ノートを公開・一部を除き配布
参考文献:澤田康幸『基礎コース 国際経済学』新世社,2003年

成績評価の方法

宿題と試験

関連項目