ゲーム理論

担当教員

神取 道宏

配当学期・曜日・時限

夏学期 木曜 1限

内容・進め方・主要文献等

ゲーム理論とは、合理的な人々が相手の出方を読み合いながら行動する結果、何が起こるかを数学的に記述・分析する一般理論である。これは、需要と供給による価格メカニズムの理論とならび、現代の経済学においてもっとも重要な役割をはたす分析用具となっており、産業組織、金融、国際経済、マクロ経済政策、公共政策、労働、経済史、経営をはじめとする殆どすべての分野で広く使われている。現代の経済学の成果を理解する上で、ゲーム理論は不可欠といってよいであろう。さらに、ゲーム理論の射程範囲は経済学にとどまらず、政治学、社会心理学、進化生物学、コンピューターサイエンスなど多くの分野に広がっている。本講義では、ゲーム理論の基本的な考え方と応用例を基礎的なレベルから解説して行きたい。講義で取り上げる予定のおもな項目と応用例は以下の通り。
1.戦略的状況とは何か?−なぜゲーム理論が必要となるのか
2.同時手番のゲームを解く − ナッシュ均衡
囚人のジレンマ、技術の業界標準、寡占市場、テニスとサッカー、鮭の繁殖戦
    略
3.動学的なゲームではったりを見抜く − 部分ゲーム完全均衡
テロ対策、新規企業の参入、家電量販店の最低価格保証、チェス、交渉
4.長期的関係と協調 −くり返しゲームの理論
カルテルと談合、企業の評判と製品の品質
5.私的情報のあるゲームを解く − ベイジアン・ナッシュ均衡
オークション
6.私的情報下の動学ゲーム - 完全ベイジアン均衡
学歴と労働市場、鹿の角とハンディキャップ原理

教材等

教科書:
R. ギボンズ、『経済学のためのゲーム理論入門』、創文社、1995
参考文献:
D. Fudenberg and J. Tirole, Game Theory, MIT Press, 1991.
伊藤元重・岩井克人編 『現代の経済理論』 東大出版会 1994.
岡田章『ゲーム理論』有斐閣 1996.
岡田章『ゲーム理論・入門―人間社会の理解のために』有斐閣 2009.
渡辺隆裕『ゼミナール ゲーム理論入門』日本経済新聞社 2009.
D.クレプス、高森・大住・長橋訳『ゲーム理論と経済学』東洋経済新報社 2000.
佐伯・亀田編『進化ゲームとその展開』 共立出版 2002.

成績評価の方法

定期試験 とその他(開講時に指示する)

関連項目