民事法の基層と現代的課題

担当教員

石川 博康

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

 法の生成・展開過程や法を支える社会の構造等を踏まえた基礎的考察を通じて法の基層に降り立つことは、民事法における諸制度を設計し、またそれを解釈・運用するに際しての欠くべからざる諸前提のうちの一つである。本講義では、既存の法制度を評価し、また新たに法制度を構想する際に必要な、民事法の基本的な考え方および概念について講義する。法学未習者と、学部で民事法を一通り勉強した学生で民事法を支える理論的諸基盤についてより広い視野からもう一度理解し直そうと考えている者とを、対象とする。
 本年度は、昨年度に続き、債権法における解釈論および立法論上の諸問題について、検討を行う。特に、契約に関する規律を中心とした債権法の抜本的改正に向けて、現在どのような立法論的検討が進められているのか、またそれらの議論の背後にはどのような実践的・理論的課題が存在しているのか等について、主題的に取り上げる予定である。

授業のキーワード

民法,債権法,契約法

授業計画

1.ガイダンス:契約を中心とした債権法の構想について
2.契約責任および損害賠償法における諸問題
3.履行請求権とその限界
4.解除の要件としての帰責事由をめぐって
5.解除と危険負担
6.原始的不能
7.新たな典型契約としての役務提供契約
8.売買および請負における瑕疵担保責任
9.権利行使に関する期間制限(消滅時効、除斥期間)
10.事情変更の原則と再交渉義務

授業の方法

 初回は、本講義の目的や進め方、参考文献、次回以降の進行予定等について、ガイダンスを行う。2回目以降は、授業の最初に配布する簡単な課題に対する答えを解答用紙に記入して提出し(20分程度)、残りの時間で、それらの解答例を具体的に取り上げて質疑応答を行いつつ、各回のテーマに関する解説を行う。

成績評価方法

定期試験および出席状況による。

教科書

特になし。

参考書

民法(債権法)改正検討委員会編『債権法改正の基本方針』別冊NBL126号(商事法務・2009年)
『民法(債権関係)の改正に関する検討事項:法制審議会民法(債権関係)部会資料〈詳細版〉』(民事法研究会・2011年)

履修上の注意

 各回の最初に配布する課題については、基本的にその解答内容の是非は問題としないが、それに関する質疑応答に際しては、参加者には積極的に議論に参加することが期待される。

関連項目

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