公共政策の経済評価

担当教員

岩本 康志 / 城所 幸弘

単位数 / 使用言語 / 配当学期

4単位 / 日本語 / 冬学期

2012年度冬学期提出レポート

  • 『大阪国際空港(伊丹空港)廃止に関する費用便益分析』
    加茂大司朗・陳騁・西川純平・平賀敬博・渡辺知子
    PDF(792KB)
  • 『柏市の小学校におけるスクールバス導入に関する費用便益分析』
    小柳津靖之・関原優作・武繁尚弘・村山真悟・山本駿介
    PDF(588KB)
  • 『アルコールインターロック装置の設置に関する費用便益分析』
    石田一平・亀田泰佑・川崎雅史・西山克彦・三好雄也
    PDF(1.2MB)
  • 『答志島架橋に関する費用便益分析』
    生駒勇介・小林大祐・松場茜・水岡想・Enkhbaatar Tsenguun
    PDF(1.6MB)
  • 『エレベーターの戸開走行保護装置設置義務化に関する費用便益分析』
    江頭勇太・仲川祐司・盛田太郎・米原泰裕
    PDF(1.2MB)
  • 『空き家対策の費用便益分析』
    江崎真悟・阪下竜也・戸矢通義・中村祐太
    PDF(430KB)
  • 『自動体外式除細動器(AED)導入に関する費用便益分析』
    秦知人・高草木伸・朱烽楓・佐々木美絵
    PDF(690KB)

授業の目標・概要

政策形成をより合理的なものに改善していくためには、政策分析の質的向上が必要である。
なかでも、政策の効果を経済学的に分析することは、その結果を肯定するにせよ、否定するにせよ、政策形成上必須であろう。しかし、これまで、政策の効果を経済学的に分析することは日本の政策現場では伝統的に軽視されてきた。
本科目の主要な目標は、このような状況を改めるために、経済学に基づいた政策分析を行うことである。そのため、政策の効果を経済学的に分析するための分析ツールである費用便益分析を体系的に学び、その知識で現実の政策を分析する。したがって、本科目には2つの柱がある。1つは、費用便益分析の標準的な教科書に基づいて費用便益分析の全体像を習得することである。もう1つは、費用便益分析の知識を理解するには現実の事象への応用が不可欠という観点に立ち、受講者がグループに分かれ、社会資本投資、市場設計、規制評価等、自ら選んだ事例について費用便益分析を行うことである。
なお、ミクロ経済学、マクロ経済学及び統計学の素養が前提となるが、高度な経済学的分析を追求するものではなく、前提とする水準は「経済学基礎」及び「統計分析手法」程度である。

授業のキーワード

費用便益分析,政策評価

授業計画

「公共政策の経済評価実習」と一体化した授業である。主として、①費用便益分析の基礎の講義、②外部講師による費用便益分析の実例紹介、③政策評価プロジェクトのレポート作成からなる。なお、進度等により各部分に割り当てる時間は調整することがある。

①の講義内容(12回程度)
1 政策分析のためのミクロ経済学
2 費用便益分析の概念的基礎、ミクロ経済学による基礎(テキストBoardman他、2章、3章)
3 便益と費用の計算方法-基礎編-(テキスト4章)
4 便益と費用の計算方法-応用編-(テキスト5章)
5 具体的便益評価事例の検討-神戸空港の事例から見る現実の費用便益分析-
6 割引(テキスト6章)
7 不確実性への対処(テキスト7章)
8 オプション価格と存在価値(テキスト8章、9章)
9 社会的割引率と社会実験(テキスト10章、11章、12章)
10 観察された行動をもとにした便益計算(テキスト13章、14章)
11 CVMとシャドウプライス(テキスト15章、16章)
12 費用効果分析、費用効用分析、費用便益分析の現状と課題等(テキスト18章、19章、20章)

②の内容(10回程度)
電力、航空、自動車税・酒税、規制影響評価等の費用便益分析の実例を紹介する。
 
③の内容(8回程度)
受講者をグループ分けし、各グループで1つの事例の費用便益分析を行う。なお、費用便益分析の事例テーマの選定は、各グループがメンバーの興味に基づき、教員、他のグループメンバーのコメントも考えながら自主的に行う。この費用便益分析の事例研究に関して、中間発表、最終発表を行い、政策分析レポートを執筆する。

授業の方法

講義と演習にて行う。

成績評価方法

中間試験、最終試験、練習問題、政策分析レポート、授業における発表と参加度による。

教科書

Boardman, Anthony E., David H. Greenberg, Aidan R. Vining, and David L. Weimer. Cost-Benefit Analysis: Concepts and Practice. 4th ed., Prentice Hall, Upper Saddle River, NJ, 2011(2版には邦訳がある:『費用便益分析-公共プロジェクトの評価手法の理論と実践』岸本光永監訳,ピアソン・エデュケーション,2004年)。
金本良嗣・蓮池勝人・藤原徹『政策評価ミクロモデル』東洋経済新報社、2006年。

履修上の注意

以下の科目をすでに履修しているか、同時に履修していること。
(1)Microeconomics,Microeconomics for Public Policy,あるいは経済学基礎
(2)Econometrics,Statistical Methods,あるいは統計分析手法

関連項目

Courses