ヨーロッパ法

担当教員

伊藤 洋一

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

東西冷戦の終結とともに,ヨーロッパ連合は,安全保障をも視野にいれた広い権限を持つ地域的国際東西冷戦の終結とともに,ヨーロッパ連合は,安全保障をも視野にいれた広い権限を持つ地域的国際組織として,今や国際経済のみならず国際政治においても大きな意義を持つ存在となった.
また,ヨーロッパ統合の進展とともに,ヨーロッパ共同体法の重要性は,近年増加の一途をたどっており,特に,EC/EU法の基礎的知識は,EU加盟国の国内法理解に際しても今や不可欠となっている.
EC/EU法は,従来の古典的国際法とどのように異なるのか,加盟国の国内法との間にどのような影響関係があるのか,「民主的」な国際組織の設計はどのようなものであるべきかといった問題は,学問的にも重要な理論的問題を提起している.
ヨーロッパ法の展開は早い.従来のEC/EU条約に代わる新たなEU憲法条約の批准が,2005年のフランス・オランダにおける国民投票以後難航し,そのまま発効するに至らなかったことは周知の通りである.結局,2007年に再度条約改正交渉が行われ,同年12月13日にEU憲法条約に相当度の修正を加えたリスボン条約が調印されたものの,発効には2009年12月1日を待たねばならなかった.このような経緯から,暫くは条約改正がなされえないであろうと考えられていたが,昨年来のユーロ危機により,俄に事情が変わり,「民主的」な国際組織の設計問題は重要性の度合いを高めている.本講では,現行法であるリスボン条約を中心に講義を行う予定である.
EU法の対象分野は,共同体管轄事項が拡張されてきた結果,今や多岐にわたっているが,EU組織法の理解は,個別のEU実体法理解のため不可欠の前提となる.本講では,EU法の総論部分にあたる組織法,具体的には,EUの機構,法源,争訟制度等について順次講じる予定である.

授業のキーワード

ヨーロッパ法,EU法,ヨーロッパ連合,EC法,ヨーロッパ統合

授業計画

第1回 イントロダクション: ヨーロッパ法研究の意義と方法
第2回 ヨーロッパ統合の歴史
第3回 ECとEU,共同市場と法
第4回 EUの機関
第5回 EUと加盟国の権限配分
第6回 EUにおける決定過程
第7回 EUの法源(1)
第8回 EUの法源(2)
第9回 EU法の直接適用性(1)
第10回 EU法の直接適用性(2)
第11回 EU法の優越(1)
第12回 EU法の優越(2)
第13回 EU争訟法の概要
第14回 定期試験

授業の方法

講義

成績評価方法

筆記試験(授業最終回)による

教科書

教科書無し.条約集(英文)等については随時指示予定.

関連項目

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