事例研究(法政策III)

担当教員

塩田 智明

単位数 / 使用言語 / 配当学期

4単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

立法学の基礎的な知見を身につけた者に対し、政策形成から法制立案の過程における実務的ノウハウを修得させることを目的とした双方向的授業及び演習を行う。

本授業の到達目標モデルは、次のとおりである。
○政策立案者(policy maker)と法制立案担当者(legislative drafter)の役割の違いを説明することができる。
○政策形成から法制立案に至る一連の過程において使用されるさまざまな立法資料の特徴とその作成に必要なデータの収集・分析手法を理解している。
○過去の立法例及び一般に認められる立法慣行に従って法律案を起草することができる。

授業のキーワード

立法,国会,法制,政策,政治

授業計画

第1・2回(導入)この授業の目的、到達目標、進め方について理解を進める。グループプロジェクトのためのグループ分けをどのように行うかについても議論する。
第3・4回(文献購読1)“Legislative Drafting”(英文)を読み、法制立案という仕事とはどういうものか、法制立案担当者として有するべき倫理とは何かについて考えさせる。
第5・6回(文献購読2)前回の続き。
第7・8回(グループプロジェクト1)各グループは、国会で法律にしてもらいたい政策のテーマ及び内容について討議する。政策のテーマ及び内容が決まったら、担当教員の承認を得る。
第9・10回(グループプロジェクト2)各グループは、政策立案者として、他のグループに対し、担当教員の承認を得た政策テーマ及び内容での法律案の立案依頼を行う(以下前者のグループを「依頼グループ」といい、後者のグループを「作業グループ」という。)。作業グループは、法制立案担当者として、当該政策の精密化を図るため、依頼グループと質疑応答を行う。
第11・12回(グループプロジェクト3)作業グループは、立案依頼を受けた法律案の概要又は骨子を作成する。必要なデータの収集・分析については、担当教員が援助する。
第13・14回(グループプロジェクト4)作業グループは、立案依頼を受けた法律案の概要又は骨子を依頼グループに説明し、それが依頼内容に合致することについて同意を得る。
第15・16回(立法技術1)作業グループが当面する立法技術上の課題のうち、基本的、普遍的なものについて、担当教員が解説を加える。
第17・18回(グループプロジェクト5)作業グループは、立案依頼を受けた法律案の原案を作成する。
第19・20回(立法技術2)作業グループが当面する立法技術上の課題のうち、高度で、応用的なものについて、担当教員が解説を加える。
第21・22回(グループプロジェクト6)担当教員は、作業グループが起案した法律案の原案の審査を行う。
第23・24回(グループプロジェクト7)作業グループは、立案依頼を受けた法律案を最終的に確定させ、要綱、想定問答等を添えて、依頼グループに提出する。
第25・26回(グループプロジェクト8)依頼グループは、立案依頼をした法律案の提案理由を説明し、法律案に関する質疑に対して応答する。
※上記はあくまで予定であり、今後変更される可能性がある。

授業の方法

双方向的授業、グループ討議、プレゼンテーション等を適宜組み合わせる。

成績評価方法

レポートと平常点(出席・発言等)を7:3の割合で評価する。レポートは各履修生が「法制立案作業報告書」と題して提出するものであり、グループプロジェクトにおける作業グループの一員として、立案依頼から最終案確定までの経過及びその過程でどのような作業をし、どのような論点を検討したかの説明並びにグループプロジェクトを通じての所感を1万字程度の分量で記載するものとする。作業グループ内の討議において廃棄された自己の少数意見についても記載することが推奨される。

教科書

授業に必要な教材、資料等は別途配付する。

参考書

「立法学講義<補遺>」(大森政輔・鎌田薫 編 商事法務 2011年)
「条文の読み方」(法制執務用語研究会 著 有斐閣 2012年)
「新訂 ワークブック法制執務」(法制執務研究会 編 ぎょうせい 2007年)

履修上の注意

携帯に適したPC(ノート型、タブレット型)を持参することによって、教材、資料等の受け渡し、グループプロジェクトにおける作業等が格段に能率的になると思われる。

関連項目

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