事例研究(医療事故のリスク・マネジメント)
担当教員
単位数 / 使用言語 / 配当学期
2単位 / 日本語 / 冬学期
授業の目標・概要
リスクマネジメントとは、リスクを管理可能な状態におくこと、またはリスクコストを軽減・最小化することである。
しかし、医療はそのリスクの性質、質と効率性の判断の難しさ、公共性の高さ、国民の負担率の高さから、一般的なリスクのマネジメントと同じ手法のもとにアプローチ、マネジメントすることが難しい分野であるともいえる。
リスク認知 (risk assessments)に不可欠なリスクの定量化には、個々の医師や病院について治療行為の範囲や水準を客観的に評価する枠組みも必要であるし、行政による規制やガイドライン(regulation)、訴訟(litigation)、保険(insurance)の相互依存関係がきわめて複雑なところに、急速に進む国際化(globalization)と技術革新(technological innovation)がこうした三者関係をいっそう複雑なものにしている。
本事例研究では、日本の医療システムにおいてリスクのシェアリングが不十分な背景について、縦糸として講座担当教授による系統的な理論的な整理と、横糸として現場を周知している専門家を講師として招聘して制度的な整理を行っていく。
本講義では、医療分野における現実の事例研究を通じて、複雑なリスクを社会全体で分担する制度設計を実体験してほしいと考えている。
授業のキーワード
医療リスク, リスクマネジメント, 不確実性下の意思決定,法と経済学,技術革新,テクノロジーアセスメント,社会意思決定,社会的影響
授業計画
夏学期講義で学習した、リスクマネジメント、不確実性下の意思決定、法と経済学、技術革新、テクノロジーアセスメントなどの方法論をベースとして、日本の医療が直面するリスクに関する最新動向について報告書・文献や内外の専門家との議論を通して学ぶ。
授業の方法
担当教員による講義と議論とともに、本学の教員および外部の研究者、政府行政機関・医療機関・医師からの講義やなど様々な関係者に準備の上インタビュー等を行うことを通してタームペーパーを作成する。中間発表会、成果発表会を行う。
事例研究参加者に医療事故リスク・マネジメントの現状を正確に理解してもらうために、大学研究者、行政担当者、民間保険関係者、医療関係者、法律関係者などを講師として招き、課題解決に向けた具体的な方策を講義してもらう。
事例研究参加者は、上述の理論的な整理と制度的な整理を踏まえて、単独、あるいは、グループで医療リスクシェアリングの制度設計を考案していくことが求められる。タームペーパーとして取りまとめるとともにプレゼンテーションを行う。11月末頃に中間報告、最終日に報告会を行う。
成績評価方法
授業参加状況および中間報告、タームペーパー、成果発表による。
参考書
追って指示する。
履修上の注意
原則として夏学期の「医療におけるリスクマネージメント」から続けて履修することを前提とする。