リスク・影響評価論

担当教員

岸本 充生

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

本授業では、様々な分野において「安全」がどのように確保されているのか、されるべきであるのかを、具体的な事例を通して検討する。特に、安全に関する様々な基準値の根拠を探ることを通して、リスク評価や影響評価の手法と適用事例を学んだうえで、安全の問題を考えるうえでの応用問題として、新規技術のイノベーションにおける安全性確保の問題への対処方法について最新の事例をもとに考えていきたい。
安全の根拠、あるいは安全規制の根拠を説明するためにはリスク概念が必要不可欠であり、リスク評価と規制影響評価はそうした説明責任の時代の当然のツールであるが、これらをまとまって勉強する機会はなかなかない。生活者として自分や家族のリスクが最小になる判断をする、企業人として製品やサービスの安全性を社会に示すためのノウハウを身につける、公務員や政治家として社会のリスクを最小にするための判断とその説明責任の果たし方を身につけることを目指す。

授業のキーワード

安全,リスク評価,リスクガバナンス,規制科学,規制影響評価,新興技術,イノベーション

授業計画

第1部 安全とリスク評価
化学物質、食品添加物、農薬、交通、製品、機械、システム、自然災害、放射線、医療など、様々な分野における安全の考え方、基準値の根拠、リスク評価手法、規制組織体系などについて講義する。

第2部 規制影響評価
環境・健康・安全といったいわゆる社会的規制を扱う分野における規制影響評価の手法と、米国、欧州、英国、日本での制度化の経緯や最新動向、および具体的な評価事例を紹介する。日本における制度導入と現在の課題について検討する。

第3部 イノベーションと安全
生活支援ロボット、ナノマテリアル、新エネルギー、再生医療といった新規技術に焦点を当て、これらの技術における安全性の議論を解説するとともに、科学技術イノベーションのために必要となる安全性確保の仕組みを検討する。

授業の方法

講義形式。

成績評価方法

授業への参加状況とレポート。

教科書

特になし。適宜、資料を配布します。

参考書

東海明宏、岸本充生、蒲生昌志(著)『環境リスク評価論』大阪大学出版会(2009.08)
中西準子著『食のリスク学:氾濫する「安全・安心」をよみとく視点』日本評論社(2010.1)
中谷内一也編著『リスクの社会心理学 --人間の理解と信頼の構築に向けて』有斐閣(2012.7)
畝山智香子著『ほんとうの「食の安全」を考える:ゼロリスクという幻想』化学同人(2009.11)
ダン・ガードナー著『リスクにあなたは騙される:「恐怖」を操る論理』早川書房(2009.5)
ダニエル・カーネマン著『ファスト&スロー(上)(下)』早川書房 (2012.11)

関連項目

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