イノベーション政策(医療)とリスクマネジメント

担当教員

林 良造 / 岸本 充生 / 大西 昭郎 / 細田 満和子

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

本講義は、少子高齢化や財政危機、技術革新の加速化、エビデンスに基づく説明責任の重視といった、急速に変化する時代における医療安全を考えるための考え方やツールを学ぶことを目的とし、身体的リスク対策、経済的リスク対策、そしてリスク情報のコミュニケーションの問題という、3つの公共政策的な観点から医療リスクマネジメントを取り扱っていく。

第1に「不確実性下の意思決定問題としての医療安全問題」を、リスクや不確実性を伴う環境における意思決定という側面から、リスクとベネフィットの比較や、医療の優先順位付けのための考え方やツールを学ぶ。その際に、「統計的生命価値(VSL)」や「質調整生存年数(QALY)」の利用やそれらを支える倫理的基礎付け、イギリスやアメリカにおける実践事例の成功ケースや失敗ケースを取り上げる。

第2に「経済的リスクの配分問題としての医療安全問題」では、責任ルールをめぐる経済学的な分析を紹介するとともに、医療分野において損害賠償責任制度が技術革新や各ステークホルダーの行動にどのような影響を及ぼし、どのような問題をもたらしているのかを、事例に基づいて整理をする。同時に、経済的リスク対策としての保険制度の実際とそれらの有効性と限界について取り上げる。

第3に「個人の意思決定問題としての医療安全問題」では、上記の問題に加えて、医療リスク情報のコミュニケーションの問題を取り上げる。情報格差の問題、インフォームドコンセントの問題や、行動経済学的な観点からリバタリアン・パターナリズム(libertarian paternalism)の考え方などを取り上げ、患者の意思決定問題としての医療安全問題を整理する。

また、本講義では、医療リスクに起因する問題を掘り下げて考えるために、医療機器の研究、開発、導入を具体的な事例として取り扱っていく。

授業のキーワード

医療安全, リスクマネジメント, 不確実性下の意思決定, 法と経済学, 技術革新 医療イノベーション

授業の方法

講義形式で行う。

成績評価方法

講義で取り扱ったテーマからトピックスを選択し、それについてレポートを提出してもらう。授業への参加状況も加味する。

教科書

特に、なし。

参考書

必要に応じ授業中に指示する。

関連項目

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