事例研究(テクノロジーアセスメント)

担当教員

谷口 武俊 / 吉澤 剛 / 城山 英明

単位数 / 使用言語 / 配当学期

4単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

科学技術を巡る公共政策と通常の公共政策にはどのような違いがあるのだろうか。不確実なデータ・情報をもとに、政策スタッフは意思決定者にどのような分析と報告をしなければいけないのだろうか。高度専門性を必要とする科学技術政策に一般市民をどのように関与させればよいのだろうか。先端科学とその将来の利用形態のリスク、不確実性や複雑性を、政策決定ではどう扱わなければならないのか。科学技術専門家の社会的責任とはいったい何を指すのだろうか。科学技術政策分析は、社会における様々な価値観、論争や潜在的な対立をどのように扱えばよいのだろうか。本講義では、先端科学技術に関する意思決定支援アプローチである「テクノロジーアセスメント(Technology Assessment: TA)」の考え方・手法・制度を学習し、具体的な科学技術に関して実践的に試みることを通して、上述のような問いについて、考えていく。これまで受講生が取り上げてきた技術は、大規模洋上風力発電やジオエンジニアリングやスマートグリッドなどの環境・エネルギー・情報通信技術分野、角膜再生などの健康・医療技術等がある。

授業のキーワード

科学技術イノベーション政策,テクノロジーアセスメント,社会意思決定,リスク,社会的影響

授業計画

講義では、まず、先端科学技術に関する意思決定支援アプローチである「テクノロジーアセスメント(Technology Assessment: TA)」の考え方・手法・制度について、欧米の政府機関の事例や国内におけるプロジェクトの事例を通して学習する。 続いて、科学技術イノベーション政策に関わる最新動向について報告書・文献や内外の専門家との議論を通して学ぶ。そのうえで、履修生はグループに分かれ、任意の科学技術を選択し、多面的な社会的含意に注意しつつ、事例研究としてTAを試行的に実践する。TAの結果は特定の意思決定者(クライアント)を想定し、報告書として取りまとめるとともにプレゼンテーションを行う。なお、優れたTA報告書については、実際的に社会的なインパクトをもつよう、ポリシーリサーチペーパーとして公共政策大学院のホームページに掲載し社会に発信している。
*TAとは、従来の研究開発・イノベーションシステムや法制度に準拠することが困難な先進技術に対し、その技術発展の早い段階で将来の様々な社会的影響を予期し、社会的対応案を提示することで、技術や社会の在り方についての問題提起や意思決定を支援する制度や活動を指す。

授業の方法

担当教員による講義と議論とともに、本学の理工学系教員および外部の研究者からの講義や政府行政機関・企業・研究所・NGOなど様々な関係者に準備の上インタビュー等を行うことを通してTA報告書を作成する。最終回に、成果発表会を行う。

成績評価方法

授業参加状況および中間報告、TA報告書、成果発表による。

教科書

なし。

参考書

城山英明編『科学技術ガバナンス』東信堂、2007年。
谷口武俊『リスク意思決定論』大阪大学出版会、2008年。
小林傳司『誰が科学技術について考えるのか--コンセンサス会議という実験』名古屋大学出版会、2004年。

履修上の注意

2012年度の事例研究(テクノロジーアセスメント)を履修した学生は、この科目の履修はできない。

関連項目

Courses