知的財産政策

担当教員

加藤浩

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

知的財産権とは、技術に対する特許権、ブランドに対する商標権、デザインに対する意匠権、著作物に対する著作権などが代表例である。本講義では、これらの知的財産権を広く対象とし、知的財産政策の経緯、現状、今後の課題について概説し、知的財産行政のあり方について検討することを講義のねらいとする。講義では、第一に、知的財産分野の個別テーマごとに、知的財産政策について講義を行う。例えば、企業・大学における知的財産管理の現状・課題や、生命科学、情報技術などの先端技術分野における政策課題について検討し、また、我が国が甘いと指摘される秘密情報管理について、今後の方向性を検討する。さらに、国家政策であるクールジャパン戦略についても紹介し、文化・伝統や地域政策としての知的財産行政の在り方について検討する。第二に、グローバルな視点から、知的財産政策について講義を行う。たとえば、途上国における開発や環境保全における知的財産政策の役割について検討する。また、国際的な人権保護の問題と知的財産政策との関係について検討する。さらに、医薬品・医療などの公衆衛生と知的財産政策のバランスについて検討する。受講生として、公共政策に関心のある文科系の研究生・社会人だけでなく、技術系の研究生・社会人も想定し、関心事項であるトピックス（知財マネジメント、ブランド戦略、職務発明、産学連携、コンテンツの違法ダウンロード問題など）も適宜取りあげていく予定である。講師の意図としては、知的財産法制・政策がどうなっているかより、なぜそうなっているかを考えることに主眼を置いた講義を進めることとしたい。法制度や政策の歴史的経緯や政策決定プロセスについても論じる予定である。教科書、参考書は、最初の講義で紹介するが、原則として、講義資料を講師が作成して配布する。（希望者には、経済産業省、特許庁、文化庁の見学などを実施する予定。）

授業のキーワード

知的財産,特許,商標,著作権,産業政策,科学技術政策

Intellectual Property, Patent, Trademark, Copyright, Industrial Policy, Science and Technology Policy

授業計画

第１回　知的財産政策とは何か
第２回　企業・大学と知的財産権
第３回　生命科学と知的財産権
第４回　情報技術と知的財産権
第５回　事例研究（中間整理）
第６回　秘密情報管理と安全保障
第７回　文化・伝統と知的財産政策（１）
第８回　文化・伝統と知的財産政策（２）
第９回　地域政策と知的財産政策（１）
第10回　地域政策と知的財産政策（２）
第11回　事例研究（中間整理）
第12回　知的財産政策の国際的課題（開発・環境）
第13回　知的財産政策の国際的課題（人権）
第14回　知的財産政策の国際的課題（公衆衛生）
第15回　事例研究（まとめ）

授業の方法

原則として、講義形式の授業とするが、簡単な演習を行う場合もある（３回程度）。

成績評価方法

最終試験（レポート）の評価と授業内評価（出席、演習）の両方から判断する。

教科書

講義のときに資料を配布する。

参考書

隅蔵康一『知的財産政策とマネジメント』（白桃書房、２００８年）
高倉成男『知的財産法制と国際政策』（有斐閣、２００１年）

履修上の注意

特になし。