アジアビジネスと企業法務

担当教員

平野 温郎

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 夏学期

授業の目標・概要

企業がグローバルに事業展開する上で必須の機能である「国際企業法務」を、主に中国(香港を含む)をテーマとして概観する。ビジネスの法的イシュー・リスクを発見し、最適解を導き出すことにより、その持続的な成功を法的に担保するという、所謂「リーガルリスク・マネジメント」(これは企業法務部門のコアスキルである)の素養を身に着けることが目的である。

将来、企業の法務部門や事業部門で、アジア関係業務を中心に専門性を活かして活躍したい参加者を想定しているが、中国・香港そのものに関心を持つ参加者も歓迎する。

貿易取引やジョイントベンチャー等の事例を用いながら、①企業法務部門が担う主要な機能・役割、②法的発展途上国の一つである中国と、返還後もCommon Law体系を維持する香港の、夫々のリーガルシステムやビジネス関連法制度、③国際取引契約実務、④コンプライアンス問題や紛争などの「危機」対応プログラム等への理解を深める。適宜実務界からゲスト参加者を招く予定であるほか、企業法務部を訪問し実務の一端に触れる機会も持つ予定である。

授業のキーワード

授業計画

*授業の進行度合いやゲスト参加者の都合等により、変更する場合がある。

第1回 オリエンテーション、企業法務の役割と意義
第2回、第3回 中国・香港ビジネス法の概要
第4回‐第6回 国際取引契約を読み解く(国際取引契約書の分析や、Letter of Intentの作成などのグループワークを予定)
第7回‐第12回 中国における事業投資の法務(仮想事例を用い、社内意思決定から契約交渉まで、事業投資案件の形成における法務業務を疑似体験する。グループによる活動を予定)
第13回 フィールドワーク(企業法務部訪問を予定)
第14回 確認テスト・まとめ

授業の方法

1.当初は担当教員の講義を中心に進め、その後は参加者による調査・検討・報告、グループに分かれての共同検討、交渉シミュレーションなどを行なう。
2.原則として各回、授業の冒頭にその日のキーポイントを含んだ簡単なチェッククイズを実施する予定(解説もその日に行う)。
3.課題としてレポート作成あり(A4で2枚程度のもの。3本を予定。テーマや作成要領等については、第1回の授業において説明する)。

成績評価方法

平常点40%、課題30%(10%×3回を予定)、確認テスト30%
*授業冒頭のチェッククイズの結果、及び、各自作成に係るLOIドラフトの出来不出来は、評価対象とはしない。
*平常点は、出席率、受講姿勢、貢献度等により評価する。

教科書

適宜配布又は指定する。担当教員による講義ないし説明部分については、原則として担当教員作成のパワーポイント資料を用いる(ハードコピーを各授業の冒頭で配布する)。

【参考書】事前に通読する必要はないが、理解の助けになる参考書は以下の通り:
・杉浦保友他『英文契約書の法実務』(三協法規出版)
・杉浦保友『イギリス法律英語の基礎』(LexisNexis)
・田中信幸他『国際売買契約ハンドブック』(有斐閣)
・北川俊光・柏木昇『国際取引法』第2版(有斐閣)
・木間正道・高見澤磨他『現代中国法入門』第6版(有斐閣)
・Peter Wesley-Smith "An Introduction to the Hong Kong Legal System" 3rd edn, 1998(Oxford University Press) など

履修上の注意

2・3年生対象
自律的かつ積極的な授業およびチームへの貢献を期待する。

その他留意事項

毎年開講

関連項目

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