宇宙開発と公共政策

担当教員

内冨 素子 / 中谷 和弘 / 城山 英明 / 中須賀 真一

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

2008年の宇宙基本法により宇宙開発の目的として、従来の科学技術に加えて、安全保障面を含む安全安心な国民生活の向上への貢献、産業振興・国際競争力への貢献、国際協力・外交への貢献等、宇宙開発の新たな目的が明確化された。これを受けて内閣総理大臣の下に関係閣僚で構成する宇宙開発戦略本部が設置され、我が国の宇宙開発利用の総合的な推進を図ることを目的とした宇宙基本計画が策定された。さらに、2012年には内閣府に宇宙戦略室が設置されるとともにJAXA法も改正され、政策目的を達成するための実務体制の整備が進んだ。

宇宙開発は近年、社会のツールとしての意義が強まり、国、関係省庁、公的宇宙機関、海外宇宙機関、産業界、研究者やユーザー等のステークホルダーが複雑に絡む、大規模かつ国際的な側面の強い公共事業となっている。そのガバナンスや、様々な具体的課題に関する法政策は、原子力・電力、海洋、鉄道等の他の科学技術分野の公共事業と類似する部分もあるが、独自の発展を遂げた面もある。

本授業では、宇宙開発のガバナンスと具体的法政策について、国内・海外の動向を踏まえた実践的な考察を行う。そのため、学術研究者に加え、行政実務者、宇宙機関関係者、宇宙企業関係者、NASA等の海外宇宙機関関係者を招待し、実務への理解を深める。さらに、学生チームによる分析・提言・討論、各学生によるレポートを組み合わせ、実践的な政策提言のスキルアップにつなげる。2014年度は宇宙外交を中心的テーマとして取り上げる予定である。

本講座は、宇宙政策に関する基本講座・実務紹介・討論、学生チームによるテーマ分析・提言、各学生によるレポートを組み合わせた、全員参加型の授業を予定している。

授業のキーワード

公共政策,宇宙,科学技術,ガバナンス,技術マネジメント,国際比較分析

授業計画

10月6日ガイダンス
10月20日~12月22日 実務理解のための基本講座(宇宙開発利用に関する法政策・ガバナンス・国内外の動向等)
1月5日・19日・26日 グループ発表(政策提言)・まとめ講義
※変更可能性あり
※講義終了後にレポート提出あり

授業の方法

年内は、実務の実態を理解するための基本講義を中心とする。政府関係部局、宇宙機関(JAXA、NASA、フランス宇宙機関、ドイツ宇宙機関等)、産業界などの関係者を招き、宇宙開発利用に関する法政策や実務の全体像を理解する。
平行して少人数のグループを結成し、担当教官の指導を受けつつ宇宙外交に関する分析・政策提言の検討を進める。
1月は各グループによる発表と討論を中心とする。マスコミ関係者等のオピニオンリーダーの参加も予定している。
希望者を対象に、宇宙機関の施設見学や関係者インタビューも予定している。

成績評価方法

グループ発表、個人レポート、平常点(出席状況等)を総合的に評価する。

教科書

特定の教材は用いない。必要に応じて適宜、配布・指示する。
以下のホームページを参照
内閣府(宇宙政策)
慶応大学宇宙法センター
宇宙航空研究開発機構(JAXA)

参考書

科学技術ガバナンス 城山英明 東信堂
日本の宇宙戦略 青木節子 慶応大学出版会
宇宙基本計画 内閣府宇宙戦略室編集 
宇宙法ハンドブック 株式会社一柳みどり編集室(監修 慶應義塾大学宇宙法研究所)

履修上の注意

公共政策大学院以外でも、東大に所属する大学院生であれば、単位取得が可能。

関連ホームページ

../../courses/index.htm

その他留意事項

現在は宇宙開発利用に関する法政策・ガバナンスの大きな転換期にあります。JAXAから派遣される非常勤講師や多岐にわたる実務者からの豊富な情報をもとに、宇宙行政のリアルな動向を学び、学生ならではの新たな視点で政策提言を行う講座です。講座開始5年目を迎え、宇宙分野に関心のある学生にはもちろん、他の公共政策分野との比較対象としても参考となる講座を目指します。多くの参加を期待しています。

関連項目

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