人文地政学入門:宗教、民族、トランスナショナリズム

担当教員

松里 公孝

単位数 / 使用言語 / 配当学期

2単位 / 日本語 / 冬学期

授業の目標・概要

古典的な地政学は国家を主要アクターとみなし、軍事力や経済力を目的達成の手段とみなした。21世紀の地政学はトランスナショナルなアクターが展開するソフトパワーや認知操作に注目する。このアプローチの結果、国内政治と国際政治の間の垣根は融解し、右の内・外政治と跨境(トランスナショナル)政治が三位一体となって織りなす広域政治過程が見えるようになる。本授業は、従来の政治学・国際関係論でアイデンティティ政治およびトランスナショナリズムと呼ばれていた方法を統合する試みであり、宗教、民族、言語、歴史等の人文的な知識を政治研究に動員する試みである。

授業のキーワード

宗教,民族,非承認国家,トランスナショナリズム,地政学

religion, nationalities, unrecognized states, transnationalism, geopolitics

授業計画

1.古典的地政学と人文地政学の方法を対比することにより後者を理解する(3回)
2.イスラーム、正教、反カルケドン派キリスト教の基礎知識を身につけ、それらが現代政治・国際関係において果たしている役割について学ぶ(4回)
3.跨境民族の歴史的・現代的事例研究(3回)
4.跨境政治の典型としての非承認国家をめぐる広域政治(3回)
5.世界のあちこちのマクロリージョンを事例としたグループ研究発表(2回)

授業の方法

1.基本的には演習形式。1回につき英語論文・章を2本または2章読むことを目指す。
2.2-3回に1回の割合で、パワーポイントを使った講義を行う。
3.調査方法論についても学ぶ。

成績評価方法

英語文献の正確な読解力、討論参加の積極性により評価する。

教科書

開講時に、使用文献一覧とスケジュールを配布する。 事前に、『マッキンダーの地政学』(原書房、2008年)、J.S.ナイ『ソフト・パワー』(日本経済新聞社、2004年)、ホセ・カサノヴァ『近代世界の公共宗教』(玉川大学出版部、1997年)を読んでいることが望ましい。カサノヴァの邦訳は絶版・貴重本なので、すぐに図書館に返すこと。

参考書

文献ごとに、報告者だけでなく、討論者もつける。

関連項目

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