事例研究(法政策I)
Case Study (Legal Policy I)

担当教員 / Instructors

鳩山 正仁

配当学期 / 使用言語 / 単位数 / Term / Language / Credits

S1S2 / 日本語 / 4

授業の目標・概要 / Objectives

行政の多様な政策分野において、法制度とこれに基づく政策(以下、「法政策」と言う)が行われている。
我が国において、国民のくらしや経済活動を対象とする行政に関する法政策を見ると、長い歴史の中で、創設後の環境変化等に応じた変化を見せつつ、特に最近大きな変化を見せているものが、数多く見受けられる。他方、比較的短い歴史の中で、その姿を変えているものもある。
法政策が大きく変化する場合の要因としては、制度自体に内在するもの、外部環境に起因するもの、または両方と、様々な場合があり得るが、変化の意味を考えるためには、法政策の内容面と同時に、どのような政治構造や国民意識の中で、具体の変化が形成されたかというガバナンス面についても考慮する必要がある。

この授業では、我が国の主要な法政策ごとに、時間の流れにおける大きな節目となるいくつかの具体的な変化を取り上げ、背景にある政治構造や国民意識の変化をできるだけ踏まえながら、その意味を考えていく。そのことを通して、各々の法政策における変化のありようの特徴を知るとともに、これらの法政策群の流れを横断的に見て、法政策の発展とは何かということを考える。
具体的には、農政(米政策、農地制度、農協)、厚生行政(医療保険制度)、国土交通行政(河川法)及び経済産業行政(産業立地政策)に関して、法政策の流れにおける節目となる変化(多くは創設時や改正時)をケーススタディとして取り上げる。できるだけ、当事者として変化に立ち会った実務経験者をゲストとしてお呼びして話を聞いて行きたいと考えており、各自が、所管省庁における責任者であったとしたらどうするかという実践的視点も大切にしたい。

各自が、今後我が国の法政策に様々な立場で関わり、参加して行くのに向けて、法政策の大きな流れを考える力を身につけてもらうのが授業の目的である。
なお、この科目は、行政法や経済法のように、法律の条文とその解釈を探求していく科目ではない。これまで学部等で法律を学ぶ機会がなかった方も、この機会に、様々な法政策とその変化にふれて頂きたいと思う。

授業のキーワード / Keywords

法政策における変化と発展,内在要因,外部環境,ガバナンス,ケーススタディ,農政(米政策,農地制度,農協),厚生行政(医療保険制度),国土交通行政(河川法),経済産業行政(産業立地政策)

授業計画 / Schedule

以下のように計画しているが、順序の変更等はあり得る。
1. Introduction 法政策の発展<理論的枠組み>
農政(米政策)
2. 総論(昭和61年生産者米価据置きを含む)
3.昭和17年食糧管理法制定前後の状況
4.平成6年食管法廃止、食糧法制定
5.平成15年食糧法改正
6.平成19年米政策以降
農政(農地制度)
7.総論(農地改革を含む)
8.平成5年農業経営基盤強化法制定
9.平成12年農地法改正
10.平成21年農地法改正「平成の農地改革」
11.中間まとめ(プラス平成27年農地法改正案)
厚生行政(医療保険制度)
12.総論
13.昭和59年健康保険法改正
14.P「高齢者医療制度の構想史」
15.P平成18年医療保険の構造改革
16.平成24~26年社会保障と税の一体改革
国土交通行政(河川法)
17.総論(旧河川法を含む)
18.昭和39年新河川法制定
19.平成9年改正
経済産業行政(産業立地政策)
20.概説(新産・工特を含む)
21.テクノポリス法、頭脳立地法の制定
22.平成11年新事業創出促進法制定
農政(農協)
23.概説(農会・産業組合を含む)
24.昭和29年農協法改正
25.平成4年農協法改正
26.平成26~27年農協改革
27~28.まとめ

授業の方法 / Teaching Methods

我が国における具体の法政策事例に関する資料を事前に示す。参加者数によるが、できるだけ、異なる行政分野ごとに1回はケーススタディについて調べ、発表することにより、各行政分野にふれてもらいたいと考えている。発表者以外の参加者も、事前の資料に目を通してきたことを前提に、教室での意見交換を行いたい。

成績評価方法 / Grading

授業への出席、意見交換への参加、及び、発表内容による。

関連項目 / Related Resources