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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

宗像直子教授の著書「通商戦略の再構築ーCPTPPとその先へ」が刊行されました 2022年07月06日(水)

教員業績報告 , 出版物

宗像直子教授の著書「通商戦略の再構築ーCPTPPとその先へ」が刊行されました。同教授が座長を務めた一般財団法人アジア・パシフィック・イニシアティブの「CPTPPプロジェクト」の成果をまとめたものです。同プロジェクトは、中国のCPTPP加入申請をどう受け止めるか、という問いを端緒に発足し、2022年1月から4月にかけて研究会を開催し、米国と中国の内政・外交、国際経済法、国際政治経済、安全保障、日本の対中外交・対中ビジネスといった多角的な視点から議論を行いました。

今日、通商政策を取り巻く環境は、TPPやCPTPPが交渉された当時とは一変しています。中国は、既存の国際秩序に挑戦する姿勢を一層明確にし、政治・安全保障目的のために経済的手段で相手国を威圧する動きを強めています。経済安全保障の視点でリスクを低減させるため、サプライチェーンの組み替えが進んでいます。グローバルな自由貿易体制はもはや虚構となり、同志国・友好国による自由貿易に移行したとの見方があります。プロジェクトの途上で発生したロシアによるウクライナ侵略が、価値による対立を一層浮き彫りにしました。同時に、民主主義対権威主義の戦いを遠巻きに見ている国々があり、国際秩序を守るためには、仲間の輪を広げなければなりません。難しい課題が山積しています。

そもそも日本は、当初国論を二分したTPPそしてCPTPP を何のためにあれほどの困難を乗り越えて実現させたのか。本書は、一旦原点に立ち返り、TPPの戦略的意義ー通商交渉と国内改革を両輪として促進し、各国国内における法の支配を拡大し、経済活動の予見可能性を高めることーが、今日変わらず有効であることを再確認しています。その上で、国際環境が激変し通商秩序が揺らぐ中、その再構築に向けて日本はどう行動するべきなのか。本書は、通商戦略の5つの要素ー①法の支配を広げる仲間を増やす、②CPTPPへの新規加入については、英国の加入を契機に示された基準を先例として確立・維持する、③同志国と連携し経済的威圧に対抗する枠組みを作る、③CPTPPとEUの連携を強化する、⑤米国のアジアにおける経済的な関与の維持強化に粘り強く創造的に取り組むこと、とその実施のため、通商秩序の形成を主導する基礎となる国力を高めることを提言しています。

はじめに 地政学的競争下の通商秩序の行方
第1章 日本の通商政策の推移と国際通商秩序の揺らぎ
第2章 米国・バイデン政権の通商政策
第3章 中国の論理とゲームプラン
第4章 日本の戦略

詳細は下記よりご確認ください。
https://apinitiative.org/2022/06/30/38129/