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学期当初の予定である。今後、授業の進行状況に応じて変更する。
4月11日
農業問題の源泉:農業政策が農業収奪(途上国段階)から農業保護(先進国段階)に変遷するメカニズムを農産物に対する需要と供給の変化、政治をとりまく条件の変化をからめて説明する。これは日本に特有な現象ではなく、世界各国の農業政策に共通する現象であることを講義する。
4月18日
日本農業の現状:日本農業の実態を概観する。生産と消費両面で農業をとらえるが、
輸入食料の重要性を併せて説明。食料需給の変化に伴い、農業構造がどのように変わってきたのか。農家とはどのような家計をいうのか。国民経済の中で農業はどのように位置づけられているのかを講義する。
4月25日
米政策の変遷:これまで農業政策の中心に位置してきた米政策を振り返る。戦時立法で確立した食管制度の役割と限界、米の過剰対策としてパイロット的に導入された生産調整(減反)政策の推移とその問題点1995年に食管法に代わって制定された食糧法の意味について議論する。
5月2日・9日
農業基本法の下での農政展開:戦後農政の憲法であった農業基本法の下での日本農業の展開を分析する。基本法に掲げられた理念をどのような政策で実現しようとしたのか。現実の農業はどのように対応したのか。政府の介入がどのように定着しどのように農業構造が歪んでいったかを講義する。
5月16日
農地改革と農地制度:戦後の農地改革の成果を守るため制定された農地法の功罪を検討する。原則として農業者にしか所有を認めない耕作者主義は参入規制となり規模拡大を限定的なものにしてきた。また、転用期待の除去なしには農地の集約は進まない。農地制度改革がなぜ必要なのかを議論する。
5月23日・30日
食料・農業・農村基本法と現在の農業政策: 1999年に制定された新基本法を巡る議論とそれに基づく新しい農業政策の意義と問題点を検証する。新基本法は農業に食料、農村を加え対象を対拡大し、また農業の多面的機能を重視する。その下で具体的政策は基本計画に盛られるが、その新しい内容を講義する。
6月6日
米政策改革とこれからのコメ:米政策改革が2004年度から実施されているが、その根幹は補助金政策の見直しと生産調整の農業団体への移行である。生産者の自由度は増し同時に自己責任も重くなる。生産調整の民営化は成功するのか、また生産調整に頼ることが日本のコメにとって望ましいのか等を議論する。
6月13日・20日
農業政策の国際化対応:現在進行中のWTO農業交渉の論点とプレーヤー、FTAでの農業の取扱いなどを通じて、国際的に農業のどう位置づけられているかを議論する。その潮流に日本の政策と農業は対応できているのか、またアジア共同体構想などに農業はどのように対処するのかを議論・検討する。
6月27日・7月4日
これからの日本農業と農業政策:以上の検討をふまえてこれからの日本農業のあり方とそのための政策を考える。技術の発達と国際化の進展の中で日本農業の真の比較優位をもとめるための条件、制度を議論する。日本のみならずアジアさらには世界の厚生水準の改善を図るものとしての農業政策のあり方を考える。
7月11日 筆記試験
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