環境法

担当教員

交告 尚史児矢野 マリ

配当学期・曜日・時限

夏学期 金曜 3限 

内容・進め方・主要文献等

環境法全般に亘る基礎知識の修得を目的とする。法制度や法理論はもちろん丁寧に解説するが、背景となる各分野の学際的な話題もできる限り幅広く盛り込むように心がけたい。国内法とくに国内公法に関する説明が大きな比重を占めるが、環境問題と国際法との関わり、国際環境法の重要な原則、国内環境法の枠組みの基礎となる主要な環境条約の構造等など国際環境法の基本も大切にしたい。今日の環境問題には、例えばラムサール条約と鳥獣保護法というように、条約と国内法をセットで考えなければならないものが多く、国際環境法に関する的確な知識は、国内環境法の理解に不可欠である。また、現代社会では、地球温暖化やオゾン層の破壊等を含む地球規模の環境問題が深刻化しており、それに対処するための諸々の法制度も、国家間で作成され実施されつつある。ゆえに、これらをめぐる動きを適切に理解することは、現代の環境法の学習には必須である。

教材等

交告尚史・臼杵知史・前田陽一・黒川哲志『環境法入門』[有斐閣]と淡路剛久・磯崎博司・大塚直・北村喜宣編『改訂ベーシック環境六法』[第一法規]の2点を教科書とする。参考書として、環境法全般に亘って淡路剛久・大塚直・北村喜宣編『環境法判例百選』[有斐閣]と大塚直=北村喜宣編『ケースブック環境法』[有斐閣]を、国際環境法については臼杵知史・西井正弘・水上千之編『国際環境法』[有信堂高文社]を、条約集では『地球環境条約集[第4版]』[中央法規]を薦める。

授業の構成

第1回  
環境法の歴史 環境保護の対象が公害防止対策から自然保護、さらには地球環境問題への対処へと拡大していく流れを概観し、法制面の変化を跡づける。 (PDF,55.1KB)
第2回  
公害防止の法制度 大気汚染防止法と水質汚濁防止法の基本的な仕組みと、排出(水)基準、濃度規制と総量規制、直罰制度等の基本概念を解説する。 (PDF,66.4KB)
第3回  
環境アセスメント 環境影響評価法の規定を参照しつつ、スクリーニング、スコーピング、ミティゲーションなど環境アセスメントの基本概念を解説する。 (PDF,89.8KB)
第4回
自然保護の法制度 自然公園法と自然環境保全法を中心に自然保護区の法制度を、また鳥獣保護法と種の保存法を中心に野生生物保護の国内法制を学ぶ。 (PDF,77.9KB)
第5回
廃棄物処理の法制度 廃棄物処理法制の歴史、廃棄物処理法の廃棄物概念、廃棄物処理業者の規制、廃棄物処理施設の立地等の基本的な問題を考察する。 (PDF,76.8KB)
第6回
リサイクルの法制度  2000 年に制定された循環型社会形成推進基本法の規定を踏まえ、各種リサイクル法の仕組みと問題点を学び、改正の動きを探る。 (PDF,126KB)
第7回
化学物質の安全 不確実性下の決定という観点から、リスクや予防原則といった基本概念を押さえつつ、いわゆる化審法とPRTR法の仕組みを学ぶ。 (PDF,116KB)
第8回
環境民事訴訟 主として重要な公害事件の裁判例を素材として、損害賠償や差止をめぐる民事法理論の環境法的要素を探る。 (PDF,139KB)
第9回
環境行政訴訟 取消訴訟の原告適格、義務付け訴訟の法定、確認訴訟の明確化といった行政法の知識が環境事件においていかに活きるかを検討する。 (PDF,134KB)

レジュメ (PDF,230KB)  (児矢野先生担当分6/22〜) 6月18日掲載

第 10 回
国際環境法の諸原則 環境問題と国際法、国際環境法の一般原則など、国際環境法の基礎的な論点を解説する。
第 11 回
条約規律の一般的枠組み 条約制度の発展枠組み、規律手法の多様性、実施確保制度の特徴など、今日の条約規律の一般的特質を理解する。
第 12 回
具体的な条約規律の展開 国内環境法との連関を意識しながら、主な環境部門・問題領域での環境条約の展開などを説明する。
第 13 回
国際環境紛争の解決 環境被害の救済をめぐり、従来の国際法制度の限界を前提に、新たな仕組みの発展について学ぶ。
第 14 回
国際環境法の課題と展望 国内の環境法にも重大な影響を与えつつある、環境保護と経済発展、自由貿易体制、科学技術の進歩との相克関係に焦点を当て、国際環境法の課題につき検討する。  

参考文献

 (PDF,185KB)  (児矢野先生担当分6/22〜) 6月18日掲載

成績評価の方法

レポートと平常点で評価する。

関連項目