院長メッセージ

国際化の推進

2007年10月

森田朗院長 東京大学公共政策大学院 院長 森田朗

東京大学公共政策大学院では、創設以来国際化に努め、世界で評価される大学院をめざしてきましたが、その努力が実り、このたび、文部科学省の平成19年度「大学教育の国際化推進プログラム(先端的国際連携支援)」に、東京大学として応募していた当大学院の取組「世界公共政策ネットワーク推進計画(ダブル・ディグリーの導入とグローバル化に対応する教育基盤の構築)」が採択されました。

この取組は、公共政策大学院が協定を締結した外国の大学との間で、「ダブル・ディグリー制度(二重学位制)」(たとえば双方の大学院に1年ずつ在席し、取得した単位を双方の修了要件として認めることによって、双方から学位を得ることができる制度)の導入をめざすとともに、その前提である英語での授業の充実を図るなど、グローバル化に対応する教育基盤を構築することをめざしたものです。

現在では、大学院の国際化は、いうまでもなく大きな潮流となっています。これまでのように、各国の優秀な学生が自分の国で学位を取り、自国で活躍する時代は変わり、多くの国の優秀な若者は、世界で通用する能力や学位を求めて、他国の優れた大学で学ぶようになってきました。とくに現在成長著しいアジア諸国の優秀な学生は高いレベルの教育と世界で通じる学位を求めて、多数が他国の大学院に進学しています。

東京大学公共政策大学院もその一つとして、優秀な留学生を受け入れるべく、体制の整備をする必要があると考えています。今回の取組はその第一歩であり、将来は、当大学院の修了生の中から各国の政財官界のリーダーが誕生することを期待しています。

この取組は、留学生のみならず、公共政策大学院の学生にとっても、勉学の機会を拡大することはいうまでもありません。在学中に留学する機会が得られるとともに、優秀な留学生諸君と同じ教室で、英語で学習することは非常に有意義なことです。

もちろん、今回取組が行われることによって、すぐに今述べたような国際化が実現するわけではありません。実現には、相手校との協定の締結や相当数の英語による科目の開設、奨学金制度の整備等、まだしばらくの時間がかかります。しかし、これからはできるかぎり速やかに体制の整備に努めていくつもりです。

国際化の方針について強調してきましたが、もちろん一般の授業課目の充実も図っていくことはいうまでもありません。また、職業人が効率的に学ぶことができるような仕組も作る必要があります。

今年度も就職状況は順調であり、国家公務員1種試験も昨年同様高い合格率でした。また、同窓会活動も活発になり、社会に出た先輩から現役の後輩に職業選択についてのアドバイスが行われる就職説明会も盛会であったと聞いています。こうした当大学院の関係者のネットワークを拡大していくことによって、日本と世界の課題の解決に貢献しうるような人材の育成に務めていきたいと考えています。

公共政策大学院の修了生はまだ2期生までですが、創立130周年に当たる本年11月10日(土)に実施される東京大学のホームカミング・ディには、第2本部棟7階で、これまでお世話になった先生方と修了生とのささやかな懇談・懇親の場を設ける計画です。修了生の諸君はもちろん、現役の学生諸君にも参加していただきたいと思っております。

関連項目

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