院長メッセージ

時代が求める人材の輩出を目指して

東京大学公共政策大学院 院長 伊藤隆敏

東京大学公共政策大学院
院長 伊藤隆敏

公共政策大学院は、2004年4月に、政策の形成、実施、評価の専門家を養成する大学院修士課程(専門職学位課程)として創設されました。専門性と幅広い知識の両方を兼ね備えた、官僚、国際機関や研究機関の専門家、など、広く公共政策に関わる政策プロフェッショナルの育成を目指して設けられた専門職大学院です。東京大学からは、これまでも、法学部、経済学部のみならず多くの学部の卒業生が、多数、公共政策の形成や政策決定の現場に携わり、さらに各界のリーダーとして活躍してきました。他方で、グローバル化した社会経済では、政策の立案・実行に携わる立場の人材に求められる能力や資質はどんどん変化しています。

日本経済は、10年以上の長期間に及ぶデフレ、潜在成長率の低下の結果、財政赤字が恒常化して、政府債務が世界に類のみないレベルに高まってしまいました。これからの人口減少のなかで、経済の健全性を回復するのは至難の業です。また、日本を取りまく国際政治も、新興国の台頭、とくに中国の経済成長と、国際社会における存在感の高まりから、新たな外交戦略が必要になっています。

公共政策大学院では、日本経済、日本の政治システムについての政策課題を的確に指摘する能力もつ人材、政策の評価を行う能力を持つ人材、日本を代表して外国と交渉する交渉力を持つ人材、あるいは他国間協議をまとめる力を持つ人材を輩出することを目指して、カリキュラムを構築してきました。

まず第1に、国際化に対する取り組みを強化しています。2010年度から英語による教育を行う国際プログラム(MPP/IP)を開始し、海外からの人材も積極的に受け入れると共に、シンガポール国立大学リー・クァンユー公共政策大学院との間で東京大学初となるダブル・ディグリーの制度を発足させました。その後、コロンビア大学の国際公共管理大学院、パリ政治学院(シアンスポー)との間でもダブル・ディグリー制度を整備しました。このように海外の公共政策大学院との連携を深めつつ、国際的な教育の拠点を形作ろうとしています。

第2に、外部資金の積極的な導入等を通じて、実務と最先端の研究教育との交流を図っています。国際交通、エネルギー・地球環境、資本市場、海洋政策等に関する寄付講座や共同研究を立ち上げ、広く社会の政策ネットワークと結びつくことによって、より高度かつ実践的な研究教育を展開しています。

しっかり専門性・国際性を身につけて公共政策の場で活躍したい学生には是非入学して、一緒に公共政策大学院の発展に力を貸して欲しいと思います。また、このような目標を持つ公共政策大学院に、皆様方の惜しみないご支援を賜りたいと存じます。

関連項目

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