院長メッセージ

就任にあたって

2008年4月

金本良嗣院長 東京大学公共政策大学院 院長 金本良嗣

2期4年を務められた初代森田朗院長の後を引き継いで、2代目の公共政策大学院院長を拝命いたしました。発足が国立大学法人化の時期と重なり、立ち上げには様々な困難がありましたが、森田前院長はそれらを乗り超え、公共政策大学院発展の礎を築かれました。前院長に匹敵する成果をあげるのは至難の業ですが、更なる発展をもたらすために、精一杯努力いたしますので、ご協力、ご支援をお願いいたします。

公共政策大学院は、これまでのところ、順調に成果をあげており、修了生の就職状況も好調です。寄付講座等による研究活動も活発化しており、世界レベルの公共政策プロフェッショナル養成機関としての地歩を築きつつあります。しかしながら、予算、人員、施設において、十分な資源があるわけではなく、巡航軌道に乗ったとは言い難いところです。

公共政策大学院創設時に我々が意図したのは、日本の政策形成のあり方を変えていく公共政策プロフェッショナルを養成することでした。

欧米先進国における政策を勉強して、それを日本に適合するように修正・改変すればよい時代はすでに遠い昔のことです。政策形成においても、日本が世界のフロンティアで、新しい地平を切り開いていかなければなりません。そのためには、政策形成に携わるプロフェッショナル達をレベルアップして、世界最先端の研究成果を政策形成の現場で生かすことができるようにする必要があります。これまでの学部レベルの教育では不十分であることは歴然としています。他の国々では、公共政策プロフェッショナルのほとんどは修士あるいは博士レベルの教育を受けています。

もちろん、現実の政策形成と大学での科学的研究の間にはまだ大きなギャップが存在しています。それらを結びつけ、実務に役立つ政策分析を提供できるためには、大学も変わらなければなりません。公共政策大学院においては、アカデミックな教員と公共及び民間の実務家が協力して、社会科学と実務を結びつけ、現実の政策形成ニーズに応えていくという新しいタイプの研究を切り開いていっています。政策プロフェッショナルの教育においても、これらの研究が生かされつつあります。

情熱にあふれ、高い能力を持つ学生諸君の参加を期待すると同時に、各界の方々のご鞭撻、ご支援をお願い申し上げます。

関連項目

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