留学生だより
重見安早子(SIPA)
1. 家探し
学校の寮へ申し込んだものの、すでにどこもいっぱいでキャンセル待ちの状態になってしまった私は、学校のオリエンテーションが始まる10日ほど前にニューヨークに引っ越して友人のアパートに泊めてもらい、部屋を探しました。
不動産業者を通すと契約書にサインしたり、手数料を払ったりしなければならないので、(外国人の私は身元を証明するためのソーシャルセキュリティーナンバーがなく、当時はまだ銀行口座も持っていなかったので法律的な手続きを踏むのが面倒だったのです)Craigslistという案内広告専門のウェブサイトでルームメイトを探している人に直接連絡して部屋を探しました。
部屋を探し始めて実感したのですが、マンハッタンの住宅市場はかなり逼迫していて、安い家賃で部屋を見つけるのはかなり難しいです。学校のあるアッパーウェストはマンハッタンの中心からは外れているのですが、どんなに小さい部屋でも月800ドル以下で貸し出している人はほぼいません。ある部屋を見に行った時などは、洗濯機置き場の隣にある薄暗くて小さい部屋(ベッドがようやくひとつ納まるくらい)に月1200ドルといわれて本当にびっくりしました。また、当時はCraigslistを毎日チェックして気になった部屋の広告を出した人に連絡をしていたのですが、広告が出たその日のうちに契約済みになってしまう部屋も珍しくありませんでした。
最終的に私は学校から歩いて10分もかからない場所に素敵なアパートを見つけることができましたが、八月の後半は新学期前ということもあって多くの人が部屋を探しています。今後留学を考えている方は、とくに大都市の場合、できるだけ早く大学の寮に申し込んだほうがいいと思います。
2. 授業
SIPAのカリキュラムの特徴は選択肢が非常に幅広いことだと思います。学生は経済政策、安全保障政策、経済開発、マネジメント、人権、環境政策、都市政策など実に様々な分野からConcentrationとして自分の専門分野を選ぶことができます。さらに、ロースクール、ビジネススクール、その他大学院などからも授業を履修でき、私も政治学科から「国際政治経済」を履修しています。
私が現在履修しているクラスは、「マクロ経済学」、「計量経済学」、「Cost Benefit Analysis(公共政策の経済評価)」、「Public Management(行政機関のマネジメント・経営)」、「国際政治経済」の五教科です。どれも週に1コマですが、それぞれにTAセッションがあるため、実質的には11コマの時間割が埋まっています。
経済科目は内容的にはそれほど難しくありませんが、宿題が大量にあるのでそれなりに勉強に時間がかかります。Public Managementは契約理論、ゲーム理論などをもちいてマネジメントの問題を分析する理論重視の授業です。この授業では学期に一度、実際の行政サービスについて班ごとの発表があります。最後の国際政治経済の授業では毎週4〜5個の論文がリーディングアサインメントとして課されており、リーディングの範囲に目を通しておかないと授業がなかなか理解できないので私にとっては一番大変な授業です。
上に書いた通常の授業の他に、期間限定のProfessional Developmentというクラスもとっています。SIPAは学生の就職活動の支援をかなり手厚く行っており、この授業では履歴書の書き方、面接での受け答えの仕方などを自分の希望業界(パブリック/ノンプロフィットセクター、プライベートセクター、メディア/コミュニケーションセクターの中から選ぶことができます)の実務家の先生の指導を受けています。
3. SIPAについて
国際関係で有名な大学院ということもあって、SIPAには世界中から様々なバックグラウンドの学生が集まっています。また、ニューヨークという土地柄、学校に行きながら国連でインターンをしている人もいるので将来国際機関で働くことに興味がある人にとっては恵まれた環境だと思います。