留学生だより

吉田泰輔(to UCSD/IRPS)

私はGraSPP3年目の9月から3月までの約半年間、カリフォルニア大学サンディエゴ校の国際関係・環太平洋研究大学院(IR/PS)に交換留学しました。ここでは、今後交換留学を考えている在学生の為に、「IR/PSに留学することで得られる機会」について、私の経験を基に大きく三点程述べたいと思います。なお、私は4月から化学系のメーカーに就職が決まっていたため、IR/PSでは大学院で学んだ政治・経済を復習すると共に、今後の仕事のために経営の勉強をする予定で留学に臨みました(ちなみに、IR/PSでは経営系の科目も充実しています)。

UCSDのシンボル”Geisel Library ”

UCSDのシンボル“Geisel Library”

まず一つ目に、IR/PSには、勉強に集中し、高いモチベーションを維持するのに良い環境があります。教授陣は、生徒の学習効果を高めるために様々なプログラム(宿題、試験、レポート、プレゼンテーション、グループワーク等)を用意しており、熱心に指導を行います。一つ一つの授業においても質問の時間が多く取られる等、学生の主体性が重視され、ランダムに当てられることもしばしばなので緊張感があり集中力も増します。生徒側にしても、優秀で意欲のある学生が世界中から集まっており、日常的に良い刺激を受けることが出来ます。特に、IR/PSには語学に優れた学生が多いのですが、彼らの日々の地道で徹底した勉強法には感心させられましたし、参考になりました。また、IR/PSが位置する南カリフォルニアは天候と自然に恵まれていて一年中爽やかな晴れの天気が続きます。すぐ近くに美しいビーチや多くの観光地、学内にはジムもあり、息抜きの場所も豊富です。日本に比べると勉強はハードですが、良い環境の中でやり甲斐を感じながら取り組む事が出来ると思います。

学校近くのビーチ

学校近くのビーチ

ビーチからの夕日

ビーチからの夕日

二つ目に、学校での日常生活の中で、他の学生との交流の機会を多く持つことが出来ます。IR/PSはアジアを含めた環太平洋圏にフォーカスした大学院なので、アジアに興味のある学生が集まり、日本政治・経済及び日本語も一つの中心トピックとしてカリキュラムに組み込まれています。通常文化圏やバックグラウンドの異なる人達と上手くコミュニケーションを取るのはそう容易ではありませんが、上記のような環境があるので、大学院の雰囲気にも馴染み易く、比較的容易に多くの学生とコミュニケーションを取る事が可能です。日本人学生も多く、私が留学していた期間には日本銀行や財務省、経済産業省、防衛省等の中央官庁からの留学生が在籍していました。また、学生間のコミュニケーションを促進する様々な仕組みも存在しています。授業におけるグループワークに加え、IR/PSには“PIASO”という学生自治会を中心に様々な学生グループが存在し、かなりの頻度で何らかのイベント(各国の文化展示会、かくし芸大会(?)、シンポジウム、各種パーティ等)が開催されています。いずれのイベントにおいても多数の学生が参加するため、クラスメイトとの交流を深めるのに役立ちます。また、留学生の多くは学内の寮に住んでいるため、そこでのホームパーティ等も良い交流の機会となります。

三つ目に、学内外における多様な課外活動に参加する機会を得る事が出来ます。一般的に米国では日本よりも学生による課外活動が活発だと言われますが、それはIR/PSにも当てはまります。上述のPIASOもそうですし、“Net Impact”という学術会議を開催するグループや、“朝飯会”という日本に関連するイベントを企画するグループが存在し、活発に活動しています。今年の3月に東日本大震災が起こった時にも、日本人有志が集まり寄付を募る活動を行いました。学内の他の学生グループと連携しながら100万円超を集める成功を収める事が出来ましたが、この時には米国人の懐の深さと同時に、UCSD全体における学生グループ活動の活力を実感しました。このような学生グループの活動に対しては、参加者側としてはもちろん、主催者側としても主体的に参加していくことで良い経験が積めると思います。また、私は参加していませんが、学外におけるインターンシップにも多くの学生が参加しているため、そのような機会も利用してみると良いかも知れません。

以上のような機会を通じて、私は様々な経験・学びを得る事が出来ました。学問的に政治、経済及び経営の知識が得られただけでなく、「国際的なチームの中で、国際的な仕事をする」という将来の目標を疑似体験する事でそのイメージをより明確にすると共に、今後の課題を認識することが出来ました。特に、コミュニケーション面について学ぶことが多く、文化圏の異なる相手に対しては、相手側の言葉だけでなく生活や文化等に対する深い理解が欠かせない事を学びました。また、留学先で得た多くの知人・友人も貴重な財産になりました。半年という短い期間ではありましたが、私の人生にとっては非常に実り多い時間を過ごす事が出来ました。

最後になりますが、少しでも海外志向があるのであれば、GraSPPでの交換留学は非常にお勧めです。特に海外の大学院は、職務経験のある学生や他国から意欲を持って来ている学生が多いです。勉強のための環境、評価のルールも整備されているため、国際競争を肌で感じる事が出来ます。そして、もし留学に行く事が決まったのであれば、留学前に目的意識を明確にすると共に、交換留学先で「どのような機会が得られるのか」ということについて先輩方やGraSPPに来ている留学生を通して情報を集めると良いと思います。半年~1年間というのはそう長い期間では無いため、事前の準備が留学期間中の充実度を大きく左右します。海外の大学院は、高い授業料を課しながらも学生を世界中から引き付けているだけあって、様々な機会を提供しています。皆さんがそれらの機会を上手に活用し、様々な経験を積んで大きく成長出来る事を願っています。

上記の内容に関して何か質問等あれば、お気軽に私の方までご連絡下さい。具体的な授業科目について、あるいはその他細かい事柄についても質問は大歓迎です。

<連絡先>

ytaisuke at gmail.com

<受講科目>

Policy Making Process / Globalization, the World System and the Pacific / Economic and Social Development of China / Business and Management in Japan / Introduction to Technology and Operations Management / Doing Business in the Pacific Rim / Language (Chinese for 2nd year) / Pronunciation and Fluency (Extension)

留学生だより

2009年10月掲載