第4回ITPU国際セミナーを開催しました

2009年3月19日(木)に東京大学本郷キャンパス山上会館にて、公共政策大学院・国際交通政策研究ユニット( ITPU )主催の国際セミナーを開催いたしました。(第46回の公共政策セミナーにあたり、東大・政策ビジョン研究センターとの共催です。)

主要国の混雑空港において、空港の容量制約の問題が深刻化してきており、利用者利便が損なわれ、Prof. Kanemoto新規参入が阻害される懸念が指摘されており、主要各国の大きな政策上の課題となっております。米国では、 NY地域の混雑空港に対して、発着枠の一定部分をオークションにかける試みが提案されていましたが、航空業界他の激しい反対により、議論が止まっている状況です。我が国でも、2010年の首都圏空港の容量拡大に伴い増加する発着枠の配分についての議論が始まっております。 ITPUにおいても、 2007年7月、第3回の ITPU国際セミナーにおいて、交通混雑の問題をとりあげ、意見交換を行ったところです。今回のセミナーは、更なる展開を加えて転換期を迎えつつある現在、「空港の混雑」の問題に焦点をあて、学識経験者、行政・空港当局、航空会社等から最新の見解、実証分析の発表を行い、今後のこの問題の改善に向け意見交換を行いました。

冒頭、金本良嗣・公共政策大学院長による挨拶の後、セミナーの前半では、 University of California Irvine 校の Jan K. Brueckner 教授及び政策研究大学院大学の安田洋祐助教授から、交通経済やマーケット・デザインといった理論面からの講演を頂いたのに続き、愛媛大学の福井秀樹准教授から米国の混雑空港のスロット取引の状況について、国土交通省・航空局の篠原康弘・航空事業課長から日本の混雑空港に関する状況のご説明を頂きました。

後半は、以上の発表者に加え、安嶋新・(株)日本航空経営企画室部長、宮川純一郎・全日空(株)企画室企画部担当部長及び武藤康史・(株)スターフライヤー常務取締役をパネリストとして、日原勝也・東京大学公共政策大学院特任教授をモデレータとするパネルディスカッションが行われました。最後、共催者である東大政策ビジョン研究センターの森田朗・センター長から、閉会の挨拶がありました。

Prof. Morita発表内容等を総括すると、混雑や環境負荷についてピーク時の負荷を緩和するため、政府の一定の介入は必要と考えられるが、その具体的な手法は、発着枠の無償割当てと航空会社間の2次取引を組み合わせるもの、オークションを利用するものなど様々なものが考えられ、具体の政策立案に当たっては、市場における競争条件、関係者の間の情報の非対称性など具体の状況を十分に踏まえて柔軟に制度等を設計(デザイン)することが必要であり、その際には、全く異質の新規参入を促すことも重要であること、航空会社のみならず利用者の利益を重視すべきであること、行政コストの抑制にも配慮すべきであることなど、専門的で複雑な論点について多くの議論がなされました。また、問題の解決に向け、理論と実務の双方が率直で建設的な対話を重ねることが必要であり、双方が参加する本セミナーのような場において真摯に議論が重ねられることが非常に重要であるとの指摘がなされました。

関連リンク