事例研究(環境・技術政策1)

担当教員

城山 英明鈴木 達治郎松浦 正浩

配当学期・曜日・時限

夏学期 火曜 4,5限

内容・進め方・主要文献等

 科学技術をめぐる公共政策と通常の公共政策にはどういった違いがあるのだろうか。不確実なデータをもとに、政策スタッフは意思決定者にどのような分析と報告をしなければいけないのだろうか。高度の専門性を必要とする科学技術政策に一般の市民はどう関与すればよいのだろうか。先端科学における不確実性を、政策決定ではどう扱わなければいけないのか。科学技術専門家の社会的責任とはいったいどういう意味なのであろうか。果たして、政策分析に価値観を取り込むことは許されるのであろうか。本授業では、このような疑問を、主に環境・エネルギー政策分野における現実の事例研究を通して考えていく。
 授業の序盤では、環境・エネルギー技術政策に関わる最新の報告書や文献を学ぶ。中盤には、具体的な政策課題に関わる内外の専門家(欧・米・アジアから専門家が講師として講義する予定)から最新の政策課題について学ぶ。後半には、今年のテーマとして「先進技術の社会影響評価(Technology Assessment: TA) 」をとりあげ、学生はエネルギー環境分野で今後市場に導入されようとしている特定の先進技術(バイオ燃料、電気自動車・プラグインハイブリッド、燃料電池、原子力、二酸化炭素回収貯留等)を選び、それについて総合的な社会影響評価をケース・スタディとして実施する。ケース・スタディを行うに際しては、政府、企業、NGO等様々な関係者に準備の上インタビューを行い、様々な関係者の課題認知を構造化する試みを行う。授業においても、関係する実務家との討議の機会を設定する。その上で、政策決定者を念頭に、具体的な政策提言をまとめることとする。最後には、政策提言のプレゼンテーションを通じて、クラス全員で自由な討論を行うとともに、環境・エネルギー技術に関わる横断的課題の政策分析の方法・プロセスについて考察する。参加者は、最終的には、ケース・スタディに基づいたレポートを提出することが求められる。

授業計画

第1回 授業概要、科学技術とは何か。政策文書と研究論文の違い
第2回−7回 特定テーマにおける最新の政策文書、研究論文などを読み、その概要を発表。その後自由討論。具体例としては、IPCC報告書、OECD/IEAレポート、マッキンゼー温暖化報告書、経産省・環境省報告、原子力部会報告書など。
第8回〜11回。外部専門家による話題提供と自由討論。
第12回−13回。事例研究テーマについての議論
第14回−15回。学生による事例研究報告発表。

教材等

追って指示する。

成績評価の方法

平常点及びレポート等による。

関連項目