院長メッセージ

研究教育機能のさらなる強化を目指して

2010年4月

田辺国昭院長 東京大学公共政策大学院 院長 田辺国昭

公共政策大学院は、2004年4月に、公務員をはじめとする政策の形成、実施、評価の専門家を養成する大学院修士課程(専門職学位課程)として創設されました。 この大学院は、広く公共政策に関わる政策プロフェッショナルの育成を目指して設けられた専門職大学院です。 東京大学は、これまでも多数、社会において公共政策の形成や実施に携わる人材を輩出してきました。 それらの人たちの多くが各界のリーダーとして活躍してきましたが、他方で、 社会を支える人材に求められる能力や資質は、多様化し大きく変化しつつあります。

このような時代にあって、社会が直面する課題を適切に認識し、 それに対する対応策を構築、評価するとともに、それを人々に伝達し合意を形成することのできる高度の専門能力を備えた人材に対する期待は、従来以上に高まっています。

公共政策大学院は、その設立から、政策や制度を具体的に構想し適切に運用していく力をもった人材を育成し、社会へと送り出し、一定の地歩を築いてきました。 そして、これまでの実績の上に立ちながらも、不断の見直しを通じて、さらなる研究教育機能の強化を試みようとしています。

まず第1に、国際化に対する取り組みを強化しています。 2010年度から英語による教育を行う国際プログラムを開始し、 海外からの人材も積極的に受け入れると共に、 シンガポール国立大学リー・クァンユー公共政策大学院との間で東京大学初となるダブル・ディグリーの制度を発足させました。 海外の公共政策大学院との連携を深めつつ、国際的な教育の拠点を形作ろうとしています。

第2に、外部資金の積極的な導入等を通じて、実務と最先端の研究教育との交流を図っています。国際交通、エネルギー・地球環境、資本市場、海洋政策等に関する寄付講座や共同研究を立ち上げ、大学の中だけではなく、広く社会の政策ネットワークと結びつくことによって、より高度かつ実践的な研究教育を展開しています。

このように、国際化、社会との連携という課題に取り組みつつも、専門知識に裏打ちされた高い志を持った人材を供給するという基本的な役割を、公共政策大学院は今後とも果たしてゆきたいと考えています。情熱と優れた能力を持った学生の参加を期待すると共に、各界の方々のご鞭撻とご支援をお願い申し上げます。

関連項目

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