『オープンガバメント』の可能性を探る参加型ウェブサイト実験プロジェクト(第5回)実施中!

事例研究(行政近代とICT I(オープンガバメント))では、新しい行政スタイルである「オープンガバメント」の可能性と限界について学んでいます。「オープンガバメント」には「透明」「参加」「協業」の3つの原則がありますが、そのうちの「参加」について、実際のウェブサイトを利用して議論を展開する社会実験を実施することになりました。今回で5回目となるこの実験には多くの方の協力が必要です。ぜひ下記のリンクから議論にご参加ください。

オープンガバメントとは

オープンガバメントとは、インターネットの双方向性等を活用することで、積極的な政府情報の公開や、行政への市民参加を促進する運動のことです。アメリカやイギリスをはじめとして世界各国でオープンガバメントに向けた取り組みが行われており、日本でも様々な試みが始まっています。国民(People)と公共(Public)の関係がこれまで以上に深まる21世紀型の民主主義を模索する観点から、行政の在り方を問い直す必要が出てきているからです。

オープンガバメントには次の3つの原則があります。

  1. 透明(transparency)
    政府が保有している一次情報が積極的に公開されること(その際、個人情報の保護が前提となります)
  2. 参加(particiaption)
    政策課題について国民から意見を集約できること
  3. 協業(collaboration)
    政府内や官民の連携など、組織の壁を越えて共同作業を行うインセンティブがそれぞれの組織に生じること

社会実験の概要

この実験では、オープンガバメントの3原則のうちの「国民参加」に絞り、ソーシャルメディアによる生産的な意見集約の可能性を探求します。

米国人コラムニストのジェームス・スロウィッキーは、著書の『みんなの意見は案外正しい』で、集約された大衆の意見が賢くあるためには、 1.意見の多様性(diversity)、2.独立性(independence)、3.分散性(de-centralization)の三点が重要であると指摘しています。

果たして日本社会でこれらの条件が働くのか。働くとすれば、さらにどのような条件付けが必要なのか。これらの問いについて、ウェブサイトでの社会実験を通して探っていくことを目的としています。

今年度は、具体的なテーマとして「新卒就職活動の時期を遅らせることの是非」、「憲法改正の是非」、「英語義務教育の開始年齢」の3つを取り上げ、皆さまの意見を募集します。各テーマの詳細は次の通りです。

  1. 新卒就職活動の時期を遅らせることの是非
    日本の教育制度、労働制度の中心的議題の一つである新卒就職活動をテーマ に取り上げます。特に政府、財界で現在議論となっている、新卒採用活動を3か月遅らせることの是非に関して合意形成を図ります。誰にどのような影響を与えるのか、多様な関係者がそれぞれ何を考えているのか、といったことを踏まえながら議論していただき、最終的なアウトプットを政策提言の形で行うことを目標にしております。
  2. 憲法、変える?変えない?
    安倍首相が憲法改正を次期参院選の争点にすることを明言し、政党や団体が憲法改正草案を提示するなど、憲法改正論議が熱を帯びてきました。その一方、憲法をめぐっては様々な論点―96条(改正要件)、9条、新しい人権、二院制―が錯綜している状況です。今回の議論を通じて、それぞれの論点に関する多様な意見を集約し、改憲派、護憲派の対立を超えて、これからの日本の姿を考えていけたらと思います。
  3. 英語義務教育の開始年齢
    2011年度に英語の授業が小学5年生から必修化されました。そして今、政府の教育再生実行会議では、開始時期を小学4年生以下にすることや英語を「教科」として義務教育に組み入れることを検討しています。この動きに関して、低学年から英語に触れることで将来国際的に活躍出来る人材が増えることを期待する声がある一方で、指導体制や教育効果、他教科への影響を懸念する人もいます。
    Cチームでは総論についてのアンケートと、各論についてのコメント募集を行なっています。また、頂いたコメントを取りまとめて関係省庁と意見交換を行うことを予定しています。皆様のご参加をお待ちしています。

6月11日午後8時より、学生らの手による参加型ウェブサイトを開設しています。多くの皆さまと「日本のこれから」を議論できることを楽しみにしております。(開設期間は7月9日まで)

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