在学生用掲示板

2011-04-19

【授業】月曜3限「行政法の現代的諸問題」の履修者へ

宇賀克也先生からの連絡事項です。

 4月18日(月)の人事院人材局企画課長の福田紀夫氏のお話の中には、行政組織法上、大変重要な内容が含まれていました。 行政委員会の合憲性の問題です。なぜ、この点が問題にされるかというと、議院内閣制をとる我が国では、 主権者である国民が選挙で国会議員を選び、国会議員が内閣総理大臣を指名し、内閣総理大臣が国務大臣を任命して内閣を組織し、 行政権は内閣に属し(憲法65条)、内閣が最高の行政機関として行政各部を統轄することにより、「国民→国会→内閣→行政各部」という 責任の連鎖が形成されているのに対し、行政委員会は職権行使の独立性が保障され、内閣の指揮監督に服さないため、 議院内閣制の下での責任の連鎖が切れており、民主主義が担保されていないのではないかという疑問があるからです。 この点についての政府の見解は、行政委員会に対しても、人事・予算面で内閣のコントロールが及んでいるから問題ないというものです。 これに対し、学説上は、国会が職権行使の独立性を保障すべきと考えて行政委員会を設置した場合、その国会の意思を尊重することこそ、 国会に責任を負う内閣のとるべき態度であり、議院内閣制の下での責任の連鎖が切れていると考えるのではなく、 特別な連鎖になっていると考えるべきとする説が有力になっています(行政法概説 III [第2版]176~178頁参照)。
 4月25日は、外務省官房総務課外交記録・情報公開室長の小林麻紀氏にお出で頂き、外交文書の公開についてお話いただく予定です。 歴史公文書等が非現用になった場合、通常、国立公文書館に移管されますが、外交文書の場合、外交史料館に移管されます。 公文書管理法の下でも、外交史料館は、「国立公文書館等」の「等」に含まれ、非現用となった外務省保有の歴史公文書等の移管を受けることになっています。 外交文書の公開については、最近制定された、外交記録公開規則の下で、積極的な公開の方針が打ち出されています。 時間のある方は、ジュリスト1419号の高橋和宏氏の論文を読んでおくとよいでしょう。

宇賀克也

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