留学生だより

東実希(to LKY)

シンガポールでの半年間は非常に充実したものになりました。Lee Kuan Yew School of Public Policy(以下LKY)への交換留学を考えている方がいれば、自信をもって勧めさせていただきます。

留学前準備について

ビザは現地に着いてから取得すればよく、留学前の手続きはさほど困難ではなかったように思います。何よりLKYには誰もがスーパーレディと認めるアドミッション担当の女性職員がおり、問い合わせメールを送ろうものならば、夜中でもその日のうちに返して下さいます。融通もきかせてくれるので、手続面の心配は必要ありません。

講義について

また最初のオリエンテーションで学長が"Socialize hard"というメッセージを送ったように、単に勉強だけをしていればいい場所ではなく、生徒間のネットワーク作りや、学外に自ら活動を広げていくことが奨励され、学校も各種イベントやセミナーでそれをサポートしています。

履修した授業

私はIntroduction to Public Policy and Analysis, State-Society Relations in Singapore, Politics in Southeast Asia, Energy Systems and Climate Policyを含め計4つの授業を履修していました。どの授業も毎週目を見張るほどの量の課題文献が課され、特に一年生の必修であるIntroduction to Public Policy and Analysisでは百科事典ほどの分厚さの冊子が3冊も配られました。GraSPPでは評価方法がレポートによる科目と定期試験による科目とがありますが、LKYでは定期試験による科目であっても試験日と同じころ提出のレポート課題が課されます。グループ・プロジェクトも各科目最低一つはあります。というわけで負担はGraSPPより重いというのが正直な感想です。開講されている講義については、ロースクールや法学部との合併科目が豊富であるGraSPPに対し、LKYではほとんど法律系科目がないのが少々残念な点でありました。

他にGraSPPとの違いといえば、LKYの学生層はとにかく多様です。セネガル、東ティモール、カザフスタンなど普段日本にいては接する機会があまりない国からの学生と議論を交わすことができ、良い刺激を受けました。社会人経験者も多いので、それぞれの専門分野に関する知識や見識を披露してくれることも多々ありました。例えば、シンガポール政治のクラスは政府の役人が半数を占めており、学生だけの授業とは一味違ったものになりました。

また、Power PointやYoutubeを使うなど講義形式がハイテクなのも羨ましい点でありました。スライドは授業前や後にホームページからダウンロードすることも可能で、ノートをとることに注意を奪われることなく講義に集中することができました。課題もネット上での提出が多く、盗作検出ソフトにかけるなど東大にはないシステムを色々と体験できました。

寮について

College Green というLKYの学生専用の寮があります。寮とはいっても、一軒家に4人住まい。ベッドはクィーンサイズ。学校は徒歩10分。かなり快適な生活を送ることができました。家賃は月900Sドルと少し割高な気もしていましたが、毎週のように誰かの家のパーティーに招かれ、ルームメイトとも仲良くなれたので、非常に満足しています。

その他

先に各授業の負担が重いとは言いましたが、コマ数が少ない分、遊ぶ時間も十分にとれ ました。ルームメイトの子と学校のプールに行ったり、順番に料理を担当したり、連休にマレーシアに旅行したり、シンガポールでの留学生活を満喫することができました。また、思い出深い経験の一つにはGala Dinnerという学校のイベントがあります。LKYの学生全員がシャングリラ・ホテルでの豪華なディナーに招かれ、建国の父リー・クアン・ユー本人を目の前で見ることができました。

留学生だより

2009年8月掲載

2007年4月掲載