在学生用掲示板

2012-05-18

【授業】金曜2限「政策決定・行政統制論」の履修者へ

宇賀克也教授からの連絡事項です。

 5月18日の授業でお話がありました総合特区における政令・省令規定事項の条例による上書きは、 地方公共団体は「法令に違反しない限りにおいて」条例を制定することができるという地方自治法14条1項の特例を認めることになります。 地方自治法概説(第4版)の172~173頁を読んでください。 田尻氏に追加の質問がある場合には、私を介してお伝えしますので、uga [at] j.u-tokyo.ac.jpに連絡してください。
 5月25日は、国土交通省近畿地方整備局港湾空港部長の菊地身智雄氏に港湾法についてお話いただく予定です。 菊地氏は、最近の重要な港湾法改正を主導された港湾法のエキスパートです。 港湾法を眺めると、港湾管理者として港務局の規定が第2章に置かれ、詳細な定めがされており、 第3章で「港湾管理者としての地方公共団体」が簡潔に定められています。 港務局はアメリカのPort Authorityを参考にしたもので、港湾法が連合軍総司令部の強い影響を受けて制定されたことを反映しています。 実際には、港務局の制度はほとんど活用されず、地方公共団体が港湾管理者となるのが原則的形態になっています。 港務局については、行政法概説Ⅲ(第2版)の275頁を読んでおいてください。連合軍総司令部は、港湾を軍事施設としてとられ、 日本の再軍備を警戒し、国の関与を排するため、地方公共団体が港湾を管理する仕組みをとらせました。 その結果、道路、河川のような他の公物と比較して、分権的な法制になっている点に特色があります。 平成22年に「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律」により、 国直轄の港湾が認められることになったことは、港湾法制にとり大きな意味を持ちます。 最近は、コンテナ輸送基地としての港湾の戦略的重要性が強く認識され、グローバルな国際競争に打ち勝つために、 港湾についての国家戦略をいかに策定し実施するかが大きな課題になっていますが、菊池氏には、その点についてもお話いただく予定です。 

宇賀克也

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