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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

Student Reports

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日中韓における次世代の担い手として

末永愛子

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今回は私がこの過去2年間、キャンパスアジアプログラム(CAP)を通して学んだこと及び感じたことについてご報告致します。 東京大学での1年は日中韓の3カ国出身の生徒が、この地域で論議の的になっている歴史・領土問題について討論し合うことがどれだけ大変であり、感情的になってしまうのかという事実に気づかされました。 キャンパスアジアのサマースクールコースでは、国籍に関係なく各国政府代表及び市民団体のチームに分かれて「慰安婦問題」について各々の立場をプレゼンテーションし、討論するという機会があったのですが、 韓国籍、中国籍の生徒は自己の考えに相反する意見を日本政府代表チームとして発言することを躊躇してしまいました。 その結果日本国籍の生徒だけが発言せざるを得なくなり、一方的に他グループから攻撃を受けてしまったのです。 そこで私は改めて日中韓における問題の深刻さに直面し、果たしてこの三カ国が誤解や認知の相違を乗り越えて互いに理解し合える日は来るのかという疑問を持ち続けることになります。

ソウル大学では、自分が部外者になることで、韓国では日本という国がどのように捉えられているのかこれまでとは異なった視点で見ることができました。 韓国社会で生きていると多々日本との類似点に遭遇します。中華文明の影響を受けているという共通点の為、言語・文化・習慣等といった面で、欧米諸国に留学した時には感じなかった親近感を抱きました。 しかしそれと同時に他国ではあまり感じなかった日本という国家へ対する嫌悪感、親日家という存在がタブーである事実を痛感するとこが度々ありました。 普段とても親しい韓国の友人でも、歴史・領土問題になると話は別です。無論、国籍に関係なく歴史認識や国際政治に対する意見は人それぞれであり、一概に一般化することは出来ませんが、私が人生で出会ってきた韓国の友人達は概ね日本のポップカルチャーや食文化は好きだけど、国家としての日本を彷彿させるような物に関しては皆嫌悪感を抱いていたように感じます。 日常生活における些細な会話でも国家やその社会を比較するような発言、歴史的背景がある話題に関しては細心の注意を払ってするように心がけました。

北京大学では、韓国同様新たな発見が後を絶ちませんでした。 一党独裁制国家で生活するというのが私にとっては初めての体験であり、インターネットの閲覧規制及び言論統制等により今まで自分が当たり前だと思ってきた権利を取り上げられたかのような気持ちになり、最初の一ヶ月程は戸惑いましたがそういった現実にも徐々に慣れて来ると民主主義国家には無い中国独特のスタイルが面白くなってきたのです。 又、日本では中国に対して否定的な報道をよく耳にしますが、住んでみると電子マネーやシェアバイク等テクノロジーの発展に驚かされました。 そして反日感情を持つ人が大多数を占めているという想像に反し日常生活を送る分には日本に対して嫌悪感を持っている人が韓国と比べると少ないように感じました。 しかし当然歴史・領土問題になれば 話は別であり 、一度授業中中国の近代ナショナリズムの形成について講義があった時、日本人としては耳が痛い話を討論した為心身ともに疲れ切ってしまいました。

このような経験をしていくと、個人間での友情を育むことは出来るが国家間レベルではいつまで経っても地域協力が成り立たないのではと悲観的に考えてしまうことがよくありました。 そんな時ソウル大学の学部長がおっしゃった一言が今でも心に焼き付いています。 「国家間は問題が山積しているかもしれないが、私たちが今こうやって日中韓交流を行い、相互理解を高めることで、将来各国のリーダーになっていく君たちがその担い手となり未来を変えていける。」 私はこの言葉を聞き、キャンパスアジアで育んだ友情はこれからも日中韓の明るい未来に貢献していけると確信し、このプログラムに参加して本当に良かったと心から思いました。

この4月から私は社会に出てしばらくの間は直接的に日中韓関係に関わることは無くなりますが、このプログラムで培った知識・経験を社会に還元していきたいです。

1 ソウル大学キャンパスアジア最終プレゼンテーション

2 北京大学西安実地見学旅行兵馬俑にて