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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

Student Reports

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相応しいときに相応しい場所にいること

Mai Hayano

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ソウル大学への留学は、私のキャンパスアジアプログラム(CAP)の総決算であり、クライマックスであった。もともと日米韓三か国関係 に興味があったため、韓国留学はCAPに応募した一番の理由でもあった。だがそれ以上に、長い就職活動を無事に終え、目の前の霧が晴れたような高揚感を持っていた私は 、新しい国で新しい人と出会い、新しい文化に触れることが楽しみで仕方がなかった。そこで今回はソウル大学での学生生活について、留学中に出会った一人ひとりの顔を思い出しながら綴ってみようと思う。

まず、韓国留学についてMT抜きには語れない。もしかしたら一度は聞いたことがあるかもしれないが、MTとは泊まりがけ新入生歓迎会のことで、ソウル近郊のロッジを借りて行われるイベントだ。まるで大学一年に戻ったかのように、韓国流の飲み会ゲームをするのだが、これが案外楽しい。そして何より、たくさんの新入生がMTに参加するため、友人が一気に増える。MTのあとも、ここで出会った友人たちとは、よく一緒に勉強したりご飯を食べたり、飲みに行ったりした。大学院生にもなって今更、と格好つけずに積極的に参加することをお勧めする。

次に、ソウル大学ではCAP関連のアクティビティが充実している。二週間毎に開かれるRoundtableと呼ばれる討論会や伝統舞踊のクラス、さらに五回のフィールドトリップや二回の小旅行など、とにかく忙しい。基本は全員参加だが、やむを得ない事情があれば参加しなくても大丈夫。アカデミックな議論だけでなくソウルに現存する城壁散歩をするなど内容が非常に多様で、さまざまな角度から韓国を見る機会を与えてくれる、とてもいいプログラムだった。またこれらの機会を通じて日中韓のCAP生と多くのことを話し、思い出を共有した。これぞCAPの醍醐味であり、ソウルで生活を共にしたメンバーとは他よりも強い結束を感じている。ちなみに余談だが、食事も学校が払ってくれるので、学生にとっては有り難いことこの上ない。

さらに学生交流のみならず、一人で街を歩いたときに出会った人たちとの思い出も、私にとっては大きな財産となった。例えば梨花洞に行った時、井戸端会議をしていたおばさん四人組に話しかけられた。はじめは写真スポットを教えてくれる程度だったのだが、その後私が日本人だとわかると、彼女らが日本に行った時の話をしてくれた。なぜか最終的には、日本は物価が高いので韓国のほうが住みやすくてよいというようなことを言われたのだが(笑 )、こんな風に街中でいきなり話しかけられることは東京では少ないので、中々ユニークな経験だった。その他にも、いつも行くスーパーのおばさんと仲良くなって特売情報を教えてもらったり、日本語を勉強中だというコーヒー屋のお姉さんと会話したりと、韓国語ができないなりにソウル生活を楽しんだと思う。

最後に、これらの思い出から私が特に感じた韓国の印象を伝えておきたい。もちろん、歴史問題の根深さや上下関係の重要性など、よく言われることもたくさん経験した。だが私が一番新鮮に感じたこと、それは韓国人と日本人では笑いのツボが似ているということだ。以前アメリカに留学したとき、彼らの笑いが分からず、気の利いた一言がいえなくて悩んだ時期もあったが、韓国ではそのようなことはほとんどなかった。この「笑いを共有できる」ことは、実はとても重要なことのように思う。価値観を如実に表すだけでなく場を和ませる力もある笑いを共有できるという事実は、個人や国のレベルにおいても大きく貢献すると私は信じている。

これから私はCAPを修了し、社会に出る。日中韓の現実に直面し、今抱いている楽観的な思いは早々に打ち砕かれるかもしれない。そうだとしても、この関係が複雑化する今だからこそ、CAPを通じて出会った人、感じた思いを大事にしていきたい。そして、このプログラムの真価を 、これからの人生で証明していきたい。

CAP Dinner 10.16 CAP 光州