イノベーションガバナンス エキスパート養成プログラム
概要
プログラムの狙いと特徴
イノベーションを社会実装するためのガバナンスの設計を実践的に検討する。
1.「ガバナンス」の目的、要素、運用の本質を学ぶ
イノベーションを社会に実装するためには、そこで用いられる新しい技術やビジネスモデルが社会から信頼され、受容される必要がある。そのためには、実装しようとするイノベーションが、社会のニーズに合致するインパクトをもたらし、リスクが適切に管理されていることが求められる。そのような状態を実現することが「ガバナンス」の目的である。
一方、変化が早く複雑で予測困難な現代社会においては、ルール・組織・意思決定過程などのガバナンスのための仕組みも、一層迅速、柔軟に運用され、改変可能であることが求められる(アジャイル・ガバナンス)。そのためには、政府だけで設計・運用する、巨大企業が一方的に設定するといったガバナンスではなく、社会の様々な立場にある組織や個人(マルチステークホルダー)が協働と相互評価を重ねて作り上げるガバナンスが求められる。また、社会実装においては、適したガバナンスの考案だけではなく、それを協働しながら現実化するための実践的なノウハウも必要とされる。
イノベーションの担い手である企業自身が、他のステークホルダーを巻き込みながら、このようなガバナンスを設計するために求められる視座と実装するためのノウハウを得られるよう、本講座では、①課題の解決(目的)とその解決にあたって重視するべき価値(持続可能性・ウェルビーイング・プライバシーなど)の相互の関係、②イノベーションを成立させるためのガバナンスの諸論点(ルール・技術・組織の設計、アカウンタビリティ確保、紛争解決など)や、③協働する上での実践的な方法について、関連分野(法律・経営・倫理・リスク管理など)における第一線の専門家や実践者から、最新動向を踏まえた講義を受ける。2.「現実のプロジェクト」の「ガバナンス」を具体的に設計してみる
課題に直面している現実の事例を取り上げ、受講者自身がガバナンスの仕組みを具体化する。受講生が自ら問題意識を持つプロジェクトの持ち込みを歓迎する。
3.「多様」な受講生がそれぞれ考える「全体最適」を提示し、刺激し合う
多様な産業、官公庁、専門分野で勤務する受講者同士が、それぞれの持ち場から全体最適を指向し議論することにより、持続性のある形でイノベーションの実装や組織改革を実現するための考え方を身に付けることを目指す。