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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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俯瞰的視点で公共政策を考える

城山英明教授 (from Japan) 教授

政治学、その中でも特に行政学を専門と国内の様々な分野の省庁による政策形成過程、国際行政の枠組と運用、科学技術と公共政策の境界領域である環境規制や安全規制といった領域に関して政策実務家や技術系研究者と協働しつつ研究を行っています。実務と理論、文系と理系を融合させ、チームワークを発揮しながら多角的に公共政策を見る目を育成していきたいと思います。 

私は広い意味で政治学を専門としています。研究者を志したのは冷戦が終結した1980年代末で、元々国際関係に興味があった私にも大きなインパクトのある出来事でしたが、より関心を持ったのが実務的な国際政策過程の分野です。日米貿易摩擦など、具体的な事項を扱うという観点からテーマを定めてきました。特に行政学、国内の様々な分野の省庁による政策形成過程、国際行政の枠組と運用、科学技術と公共政策の境界領域である環境規制や安全規制といった領域に関してプロジェクトを立ち上げ、政策実務家や技術系研究者と協働しつつ研究を行っています。

 一例として、日本の省庁の意思決定プロセスを調査し、比較を行い、書籍『中央省庁の政策形成過程』として発表した研究プロジェクトがあります。1996年から2000年にかけ、研究者と実務家が協働し、当時の17のうちの15省庁ごとの意思決定プロセスや人事、予算の仕組みなどについてケーススタディを行ったのですが、霞ヶ関のわずか1平方キロメートルの中にも多様な考えがあり、相互理解の障壁となりうることを、初めて明示できた、ある意味では文化人類学的研究でした。

 プロセスの多様性は、一組織、あるいは一部門のプロフェッショナルの集まりが、それぞれの課題に取り組むためにそれぞれの背景、考慮事項をふまえて構築した結果なのであり、一律に優劣をつけられるものではありません。ただし「他所ではどのように考え、どのような理論で、その意思決定に至ったのか」を理解することに意義があります。省庁に限らず広く公共政策の課題に取り組む様々な人々が、相互理解と、新たな視点でより良い方法を検討するためは、多様な観点や物事の進め方を理解するのは第一歩です。授業やGraSPPのカリキュラムの中でも、このような視点の重要性を伝えていきたいと思います。

 実務の現場では、チームワークを発揮して分野横断的、また産官学横断的に課題に取り組むという、横断的俯瞰的な働き方が求められますが、そのためのトレーニングの場としてGraSPPは最適です。様々な文理横断的な教育・研究プログラムも用意されています。理系、文系、経済学、法学、政治学など、何か自分のキャリアのベースを明確に意識する必要はありますが、そのうえで多様な観点を学び、複雑化する社会の課題に取り組むグローバルリーダーを目指してほしいと思います。

 学びの幅を広げ、思考を深化させるために学生の多様性が重要です。学部から直接進学する学生だけではなく、実務家の方の入学も歓迎ですし、さらには地理的にも日本各地、世界各地から、ぜひ入学していただきたいと思います。特に社会経験を持つ方が参加することで、抽象的になりがちな理論からも実務的なインプリケーションを得ることができるでしょうし、留学生との交流も幅が広がると思います。

また、新たに博士課程も用意されています。単に実務的研究を促すのではなく、実務的経験を通じて興味深い研究素材を発見し、そのような研究をベースに理論的な研究を深めるという新たなパスも応援します。公共政策の価値を高め、社会に貢献するには様々な方法があります。ビジョンを持って来ていただくことを期待するとともに、私たちも多様性に富む環境を提供できるように尽力します。