設置の趣旨
東京大学法学政治学研究科と経済学研究科は、2004年4月より、公務員をはじめとする政策の形成、実施、評価の専門家を養成する大学院修士課程(専門職学位課程)として「公共政策大学院」を創設しました。
この大学院は、同時期に創設された法科大学院と同様、新しく専門職の人材を養成することを目的として設けられた専門職大学院の一つです。法科大学院が法曹の専門家の養成を目指しているのに対し、この公共政策大学院は、広く公共政策に関わる政策プロフェッショナルの養成を目指しています。
東京大学の法学部、経済学部では、これまでも国家公務員、地方公務員をはじめ社会において公共政策の形成や実施に携わる人材を多数輩出してきました。それらの人たちの多くが、今、各界のリーダーとして活躍していますが、現在、わが国は、産業構造の変化や少子高齢化等に見られるように、社会も制度も大きく変わりつつありますし、グローバル化の進展に伴って世界も大きく変化しつつあります。
このような時代にあって、時代が直面する課題を適切に認識し、それに対する対応策を構築、評価するとともに、それを国民に伝達し、合意を形成することのできる高度の能力が求められ、さらにそれを証明する学位への期待が高まっています。こうした能力は、何も国や地方公共団体で働く公務員のみならず、民間企業や国際機関、言論界等でも求められています。
このような能力をもった人材への期待は大きく、平成20年に施行された公務員制度改革においても、採用試験は、知識の量よりも、知識を応用し課題解決や政策立案能力を評価する方向に見直されました。
東京大学法学政治学研究科と経済学研究科が創設した「公共政策大学院」は、このような人材の養成を目指しており、次のような特色をもっています。
- 政策立案、実施、評価能力の基礎となるレベルの高い法律学、政治学、経済学についてのバランスのとれた教育
- 実務家教員による授業を含め、内外の具体的なケースを素材とした事例研究による実践的教育の重視
- 世界のトップクラスの研究実績を有する東京大学法学部、経済学部の教授陣による授業
概要
本大学院の専門職学位課程の概要は、次の通りです。
- 修業年限は2年。修了必要単位数は46単位。修了者には公共政策学修士(専門職)を付与します。
- 定員は、1学年135人。
- 多様な政策分野に応じて、法政策、公共管理、国際公共政策、経済政策、国際プログラムの5コースを設けます。
- 入学試験は、願書審査、語学試験、専門試験、面接を組み合わせた総合評価によって行います。
- 職業人向けの入学試験を実施します。(しかし、職業人向けの特別のコースは設けません。)
組織
「東京大学公共政策大学院」は通称です。東京大学では、政策に関する専門職大学院の設立するに際し、公共政策に関連する大学院である法学政治学研究科と経済学研究科の高い国際的評価を受けている教授陣ができるだけ多く教育を担当できるように、両研究科から独立した組織を作るのではなく、両研究科が連携して設立する教育組織である「公共政策学教育部」としてこの大学院を設置することにしました。(この組織は、制度的には、学校教育法第66条のただし書に基づく「研究科以外の教育研究上の基本となる組織」に該当します。)もちろん、高度の専門教育は最先端の研究と切り離せませんので、両研究科と公共政策学教育部の連携の要として、同時に「公共政策学連携研究部」という研究組織も設置しました。
法学政治学研究科と経済学研究科の教授陣という限られたリソースをできるだけ活用するために、このようなやや複雑な組織を作りましたが、正式名称である「公共政策学教育部」、「公共政策学連携研究部」をそのまま使うことは煩瑣ですので、実態を反映した通称として「公共政策大学院」という名称を用いることにしています。