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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

院長メッセージ Dean's message

2022年4月

224日、ロシア軍はウクライナ東部の親ロシア派勢力の保護を口実に、ウクライナに侵攻しました。ロシア軍からの絶え間ない砲撃により、多くのウクライナ市民が死傷し、世界は恐怖に包まれました。ウクライナから近隣諸国への難民は、本稿執筆時点で300万人を超え、さらに増えると予想されています。G7およびNATOの加盟国は強い結束力を示し、ロシアに対して空前の経済制裁で臨みました。通常、経済制裁に及び腰な日本も、今回に限っては他のG7諸国と足並みを揃え、対ロシア制裁で強固な決意を見せました。

国際社会も弱点と強みの両方を示しました。侵攻当時、ロシアは国連安全保障理事会の議長国を務めており、ウクライナ領からの即時撤退を求めた安保理決議案に拒否権を発動しました。その後、ウクライナ案件は国連総会に移り、ロシア軍撤退を求める総会決議が141カ国の賛成とわずか5カ国の反対で可決されました。

冒頭から悲しい話題で就任の挨拶を始めるのは申し訳ないのですが、これが今、私たちに突き付けられた厳しい現実です。この2年間というもの、世界は新型コロナのため、各国ともかなり内向きになっていました。しかし、この危機を目の当たりにした今、私たちは現実を直視し、各国と連携しながら思考し行動していくしかありません。この戦争がもたらす政治的・経済的影響は非常に深甚で、我々の想像をはるかに超えるものとなるでしょう。

唯一の朗報は、東京大学大学院公共政策大学院(GraSPP)には、国際安全保障や外交問題に精通した専門家が多数おられるということです。また、この戦争による石油・天然ガスや食料の価格高騰の経済的影響や、戦後復興にかかる経済的コストについても、多くの経済学者が予測するでありましょう。そして、教員とタッグを組んで、皆さん自身もこうした分析や解決策の提案に積極的に参加することになると思います。

GraSPPは、そのリソースを活用しようとする意欲さえあれば、非常に素晴らしい環境を提供することができます。私たちは東大の中では比較的若い組織で、その始まりは2004年に遡るに過ぎません。しかし、この間、GraSPPは規模と多様性の両方で成長を遂げました。教員も学生も非常に国際性と多様性に富んでいます。留学生の国籍は先進国・発展途上国を問わず30カ国以上に及びます。GraSPPは、公共政策の実践に携わる学生を育成することを目的とした教育機関として出発しましたが、現在は博士課程も整備され、研究機関としても活発に活動しています。ですから、公共政策の中でどのような分野に関心をお持ちの方であっても、関心を同じくする仲間と交流できる快適な環境がそこにはあります。

また、GraSSPでは国際社会に参画するための多くの機会が用意されています。GraSPPは、コロンビア大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)、シアンスポなど、世界の数多くの大学とダブルディグリー・プログラムを行っています。また、キングズ・カレッジ・ロンドンとのダブルディグリー・プログラムも新たにスタートする予定です。ここ数年、我々の国際プログラムは新型コロナの感染拡大の影響でやや停滞気味でしたが、2022年は多くの学生がようやく自由に海外旅行ができるようになり、本格的国際交流復活の年になると期待しています。ですからぜひ、こうした機会も活用してみてください。

皆さんのGraSPPでの経験が実り多きものとなりますよう、心から願っております。

 

 

 

 

 

 

 

 

東京大学公共政策大学院 院長
飯田 敬輔