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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

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Seeking to unravel the unknowns facing the world today  

飯田敬輔教授 (from Japan) Dean, Professor

国際政治経済論専門分野とし、経済政策の決定過程、特に貿易政策の決定過程、安全保障と経済の相互作用を研究しています。トランプ政権発足以降、従来の理論ではとらえきれないような変化が起きている中、新たな理論を模索し、眼前の課題解決のために政策的なインプリケーションを得ることを目標としています。GraSPPでは多様な学生と接することで、私自身も新たな発見があり、教えることの楽しさを日々感じています。 

私は国際政治経済論を専門分野とし、経済政策の決定過程、特に貿易政策の決定過程、安全保障と経済の相互作用を研究しています。
私が大学院を出て留学した1980年代は、日米貿易摩擦が我が国にとって最大の国際関心事でしたから、学問的に解決策を見いだせないだろうかという思いから研究の道に進みました。結果的に日米貿易摩擦は急激に収束し、眼前の課題解決の糸口を求めて取り組んでいた身としてはレーゾンデートルが揺らぐような思いもありましたが、将来の新たな問題を考える際に改めて役立てることができます。その後中国の台頭が新たな研究テーマとなり、常に眼前の課題を分析し、改善するためのインプリケーションを得ることを目標としています。

2022年7月12日、Tokyo Collegeの講演にて

 2016年はEU離脱決定とトランプ政権発足という2つの大きな出来事がありました。特にトランプ大統領就任以降、「経済そのものが安全保障」ともいえるような傾向が見られ、安全保障と経済を別々に研究するのが難しい状況になりました。戦後の世界経済をめぐる興亡を『経済覇権のゆくえ−米中伯仲時代と日本の針路』で分析し、またトランプ政権以前の研究結果を2017年に『安全保障と経済にみる日本の対中・対米依存(Japan’s Security and Economic Dependence on China and the United States : Cool Politics, Lukewarm Economics)』として出しましたが、世界情勢の劇的な変化により、当時の理論が通用しなくなってきています。この状況を、ポピュリズムとは異なるアプローチで理解すべく新たな理論を模索しています。激化する米中貿易戦争についても、研究し新たな示唆を得たいと思います。アメリカ以外の国の様子については、入手可能な情報量に地域ごとの偏りがあるためか、分野全体で研究はまだあまり進んでいません。

 GraSPPは設立当時から、政策は決して法律だけでは作ることができないことを念頭に、幅広い学びの場を提供し、総合知を身に着け日本の公共政策に貢献する人材育成をミッションとして掲げてきました。近年はこれに加え、東京大学内における国際化のパイオニアとしての新たなミッションも担うようになりました。国際プログラム(MPP/IP)CAMPUS Asiaなど、様々なプログラムを取り入れることで、国際化が短期間のうちにダイナミックに進んだと感じています。国際化や規模の拡大が進む中でも、学びの環境としての質の高さを維持、向上するために力を尽くしています。

 また学生の出身国にかかわらず、職業人が実務の理解と視点を持って授業に参加することで、議論がより具体的になり、思考の幅が広く深くなるとともに学卒者も刺激を受けることができます。GraSPPに集い、多様な学生とよりよい公共政策について議論を交わすことは、社会に出てからは得難い貴重な経験となるでしょう。

 教育は一方通行ではなく、相互作用をもたらします。将来有望な優秀な学生が集うGraSPPは私にとっても啓発される機会に富み、教えることの楽しさを日々感じています。

(2020年7月の学内インタビューにて)