実証ミクロ経済学、計量マーケティングを専門分野とし、消費者・患者・医師・投票者・政治家といった幅広い行動主体のミクロデータを利用した実証的な研究を、多岐にわたる分野で行っています。政策もビジネスも評価方法、研究のアプローチは同じです。一見共通点がないような事象も、すべて同じ方法で分析できたりします。学生の国籍も職業、関心分野も多様な学びの場で、視野を広げ、社会に出て応用できることを期待しています。
私は実証ミクロ経済学、計量マーケティングを専門分野とし、消費者・患者・医師・地方銀行・投票者・政治家といった幅広い行動主体のミクロデータを利用した実証的な研究を、産業組織論・政治経済学・法と経済学・計量マーケティングといった分野で行っています。
いわゆる構造推定アプローチといわれる手法を用いてゲーム理論的なモデルを推定した上で、未実施の政策・施策・制度の変更を行った場合にどのような結果が得られるかをシミュレートするタイプの研究と、より記述的に経済学的な因果推論を用いて仮説を検証するタイプの研究の両者を行っています。GraSPPでは、標準的なミクロ経済学のコアコース、医療政策にかかわるミクロデータを学生がチームで分析して1年間かけて論文を書く授業、政治家や選挙民の行動を分析する政治経済学のフロンティアの論文を読む授業などを教えています。
そもそもは開発援助の仕事をしたくてOECF(現JICA)に就職したのですが、当時はアジア通貨危機の渦中で、国際機関の経済学博士たちが振りかざしてくる、個人的には無謀に思える政策アドバイスに強い反発を覚え、真っ向から反論する道具を手にしたいと思い、留学しました。様々な事情から、結局開発経済学者にはならず、博士号取得後はずっとビジネススクールや民間企業で勤務することとなりましたが、政策からビジネスまで一件共通点がないような事象も、施策・政策の評価方法や研究の分析アプローチは同じだったりします。IT企業からGraSPPに移り、再び政策に関わる研究にも力を入れて行こうと思っています。
GraSPPは、従来の“東大”や“大学院”が持つイメージに縛られない、自由でユニークな場所です。学生の国籍も職業も多様であり、関心も様々です。MPP/IPやCAPMUS Asia Program、交換留学やダブルディグリーによる学生の国際交流も活発で、英語での授業も多いことから(私の担当授業の6割が英語です)、ちょっと大げさですが東京にいることを忘れてしまいそうです。また、バックグラウンドが幅広いのは、ここに集う学生だけではなく、教員側も同じです。活発で意欲あふれる雰囲気とともに、それを維持するための努力が学生・教員それぞれに求められるという心地よい緊張感もあります。
このように多様な背景の学生・教員同士が集まることで、(時にはかなり強烈な)異なる意見、視点に触れながら、勉強し研究することができるのがGraSPPの最大の強みです。また、公共政策という、そもそも多くの異なる人々の生活に関わることを学び考えるには理想的な場所でもあると思います。
ぜひ皆さんとともにGraSPPで楽しく学び研究し、一緒に新しい知見を生み出していきたいと思っています。