GraSPPキャリアトーク―霞が関の仕事と政策改革
https://www.pp.u-tokyo.ac.jp/en/events/graspp-career-talk-250604/
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Beginning in February 2025, I did an internship with the Asian Productivity Organization’s In-Country Division. My main objectives for this internship are as follows:
1. I wanted the opportunity to apply the theories and skills I learned in my first semester at UTokyo in a real-world setting.
2. I wanted to understand how international organizations function and operate. See how they manage relationships with stakeholders from different parts of the world – each one with different priorities, needs, and ways of doing things. In addition, I wanted to experience a diverse and multicultural workforce and learn how people from different backgrounds come together to achieve a common goal.
3. I wanted to learn about topics that may not necessarily be taught or discussed in depth at university. As you know, a semester only lasts for three months, and in those three months, you cover so many topics, leaving little room for in-depth discussions. One such topic is productivity. I’ve heard about it, but didn’t truly grasp how important and complex it is until I interned at APO.
In my six weeks with the organization, I am proud to say I was able to meet my objectives for the internship. In those six weeks, I assisted program officers in their respective tasks, preparing for the implementation of projects. This included the review of submitted proposals, drafting of programs, generating themes, assisting in revising text for the website news, doing research, and participating in meetings. One of my biggest outputs is a research article on policy harmonization, which was published on the APO website.
By the end of the internship, I was able to participate in the implementation of each of the division’s programs, namely Individual-country Observational Study Missions (IOSMs), Bilateral Cooperation between NPOs (BCN), Technical Expert Services (TES), Development of Demonstration Companies (DMP), Specific National Program for Member Countries (SNP), and APO Vision 2025 Outreach (VSN). On my last day of internship, I shared my observations and recommendations to improve project implementation by APO. I presented this in front of the APO Secretary-General and the staff of the Program Directorate, who handle APO’s programs.
Before I joined the internship, I didn’t really have much of an understanding – or even awareness of productivity. Yes, it’s being measured, and nominally continued productivity growth is one of our national targets but in practice, it is often overshadowed by strategic thrusts to develop infrastructure development, attract investments and the like. It felt like one of those concepts that’s more applicable in factories or manufacturing plants.
Therefore, I’m happy to say that interning at APO gave me a greater appreciation for the importance of productivity in ensuring strong and sustained economic growth. In addition, it gave me a greater appreciation for the complexity of productivity. National-level productivity growth is influenced by so many different growth drivers, and that makes it difficult to design a comprehensive national policy. Many stakeholders play a part in it, yet no one stakeholder – be that APO, government, or private sector – controls all the levers that influence it. Moreover, some drivers cannot be controlled, like geopolitics, geography, and even the weather. Thus, it is crucial that all hands are on deck when dealing with productivity, as it encompasses so many sectors and initiatives.
Working with the program officers, I got to see just how much work it takes to take a raw proposal to approval and then to actual implementation. It takes so much time and effort discussing with stakeholders, coordinating with vendors, navigating through red tape, and all the other stuff just to get a project off the ground. Soon enough, you realize that APO can’t do it alone, and it is important that you have very good relationships with the NPOs since they have the in-country expertise to make things happen. Finally, I learned how project implementation can get complicated quickly. Talking with the program officers, I learned from their experience how seemingly straightforward activities can quickly become complicated due to unforeseen circumstances – visa issues, RP concerns, and the like can potentially derail projects and APO staff have to think on their feet on how to quickly address these issues. In all, it was amazing to see how APO punches above its weight. It is a relatively small organization but produces quality research and implements numerous programs across the APO region.
略歴
2003年、米シカゴ大学経済学部卒業、米カンザスシティー連邦準備銀行調査部アシスタントエコノミスト。2012年、米ニューヨーク大学で経済学の博士号(Ph.D.)を取得。同年9月から米連邦準備理事会(FRB)調査部エコノミスト、シニアエコノミスト、主任エコノミストを歴任した。2020年から東京大学大学院経済学研究科及び公共政策大学院准教授。2021年に第6回円城寺次郎記念賞受賞。2025年度日本経済学会石川賞受賞。
米連邦準備制度理事会(FRB)で約8年にわたり米国金融政策の最前線に従事し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期には日本国内での政策分析と情報発信で大きな注目を集めた仲田泰祐准教授。2025年度には日本経済学会から石川賞を受賞し、その実績は広く認められている。 東京の開成中学校・高等学校から直接渡米し、米テキサス・クリスチャン大学を経て名門、米シカゴ大学に進学。厳しい「知の格闘技」を経験した。FRBのカンザスシティー連銀でリサーチアシスタントからキャリアをスタートし、本部のワシントンDCへと転身、着実にキャリアを積み上げてきた。政策の現場と理論をつなぎ、発信を続ける仲田准教授に、キャリアの道のりと信念を聞いた。
——開成高校から米国の大学に直接進学しました。当時はかなり珍しかったのではないでしょうか。
仲田泰祐准教授(以下、仲田):確かに当時、海外の大学に進学する生徒はごくわずかでした。僕自身も最初から明確に決めていたわけではなくて、姉が先に米国の大学に進学していた影響が大きいです。まずは米テキサス州のテキサス・クリスチャン大学に1年間通いました。その後、公共政策系や経済学に興味があり、「徹底的に勉強させる」ということを全面的に出して広報していたシカゴ大学に転学しました。キャンパスの雰囲気にも憧れがありましたし。
博士課程よりきつかったシカゴ大学時代——シカゴ大学ではどのような学生生活を送られていたのですか。
仲田:とにかくもう、めちゃくちゃ勉強しました。正直、博士課程よりきつかったです。シカゴ大学は、勉強好きな学生が集まる大学なので、自然とその雰囲気に引っ張られました。リベラルアーツの伝統が強く、哲学のロジックの授業、あるいはシェイクスピア、ホメロスなどいった古典を読む授業も必修で、鍛えられました。とりわけ哲学の「エレメンタリーロジック」の授業が本当に強烈でした。エレメンタリーとうたっていますが、全くエレメンタリーではないという……。この授業では数学的なロジックをがっつり叩き込まれました(当時の教科書を見せる)。
——…初級論理学。論理学は、「正しさ」を成り立たせる仕組みを、厳密に見極め、体系化する学問ですね。これは、本当に難解ですね。まさに知の格闘技。かなりハードな日常だったのではないですか。
仲田:僕も今、ものすごく久しぶりに教科書を見ましたが、全く意味が分かりませんね(笑)。どうやってついていったのだろう。でも、こうした「知的な筋トレ」で、徹底的に知的に鍛えられる授業を通じて、「わからないものにロジカルに挑んでいく」姿勢が身についたのだと思います。
特に思い出深いのは、大学1年目出会ったルームメートと過ごした日々です。米国人の彼とはとても気が合い、政治や経済、社会について、一緒にいる間はひたすら語り合いました。週末には、シカゴスタイルのピザを食べながらC-SPAN(政治専門チャンネル)を観て議論したりしました。彼との日々の暮らしを通じて、英語で考え、話し、議論し、書くという力がいつのまにか伸びたのだろうと思います。日本だと、あまり日常的にそうした議論を密にしないですよね。寮生活ならではです。
——学びだけでなく、日々の暮らしの中で鍛えられた。
仲田:そうですね。当時のシカゴ大学では、寮の仕組みもユニークで、寮ごとに食事のテーブルが決まっていて、決まった仲間と日常的に食事をともにしながら話をしていました。自分と異なる興味や価値観を持つ人とも対話せざるを得ない環境に置かれるのです。まさに「対話を通じた知の構築」が日常に組み込まれていたように思います。
バスケットボールが生活の一部——勉強と対話に明け暮れる日々だったと思いますが、バスケットボールにも熱中されていたとか。
仲田:はい、中学・高校時代からずっとバスケ部で、部活動に全力投球していました。渡米してからも、授業の合間にコートでバスケをしていました。シカゴでも、カンザスシティーでも、ワシントンDCでも、職場の仲間とチームを組み、ローカルリーグに出場しました。米国でもバスケを通じて友達ができましたし、身体を動かすことでリフレッシュになりました。
——バスケ好きが高じて、著名なNBA選手と交流した経験もあるとか。
仲田:そうなのです。カンザスシティー連銀にいたとき、日本人のバスケ仲間と一緒に、田臥勇太選手がカリフォルニアの下部リーグからカンザスに遠征してきた試合を観に行きました。試合後に記念写真も撮らせてもらい、感動しました(写真を見せる)。バスケが大好きだったので、本当にうれしかったです。
——シカゴ大学卒業後、FRBに就職しました。日本に帰って就職することは考えなかったのですか。
仲田:大学を卒業してすぐ日本に帰ったら、少しもったいない気がしました。もう少し米国で生活したい思いが強かったのです。実は米国での就職活動では、金融やコンサルティングファームなども受けたのですが、あまりうまくいかなくて(笑)。そんな中、FRBのカンザスシティー連銀から、リサーチアシスタントの内定をいただいたのです。当時は金融政策のことなど全く分からなかったのですが、職場に入って、分析に基づいて政策が議論されている様子を目の当たりにして「こういう仕事があるのか」と、とても面白いと思ったのです。
分析が感謝されることに喜び——一番面白さを感じたのはどのような場面ですか。
仲田:大学では、どんなに頑張って良い成績を取ったり、良いレポートを書いたりしたところで、褒められることはあっても誰かに感謝されるなんてことないですよね。でもFRBで分析をすると、同僚や上司から「ありがとう」ととても感謝される。自分の能力で社会に役立てるのだと実感できたのは、とても新鮮で、大きな喜びだったのです。
——FRBの数理モデルチームでエコノミストとして活躍し、中央銀行の政策課題を動学最適化問題として取り上げ、実績を積みました。特に思い出深い仕事はありますか。
仲田 ゼロ金利制約に関する分析に色々と取り組んでいました。本当にどうしたらいいか分からない、未知の状況の分析は大変やりがいがありました。例えば2014年から2018年までFRB議長だったジャネット・イエレンさんのような上級幹部のスピーチに、自分の論文が引用されたりすると最初は感激したものです。とはいえ慣れてくると、引用されないと少し不満、という感じで、だんだん図々しくなっていきました(笑)。
――2020年に東大から声がかかって帰国しました。2021年からは新型コロナウイルス禍(パンデミック)で、疫学マクロモデルを用いた感染予測などさまざまな分析を発信されました。政府の分科会や厚生労働省のアドバイザリーボードなどでも分析結果を提供してきました。不確実なテーマで、緊張の連続だったのではないですか。
仲田:パンデミックについて素人でしたし、新型コロナ禍は1年ぐらいで終わるだろうと考えていたので、分析は考えていませんでした。FRBであれば、こうした状況の時は今後の見通しを立てて政策を決めたいと思うものですが、そうした分析がされているのかがよく分からずにいました。外部の人間が知らないだけで内部では色々な分析をしているのかと思って様子を伺っていたのですが、そうでもなかったのです。
「できることを積み上げれば役に立てる」2020年12月に少し分析してみたらすぐ手応えがあり、「よし、頑張るか」と決意を固めました。FRBで働いていた時と同様、分析が不足している領域に対して、自分ができることを積み上げていけばインパクトが残り社会に役立てるという確信があり、発信を続けていきました。仮に分析が現在のパンデミック対応の役に立たなくても、同じフレームワークで地道に分析を続けて、後から振り返ること自体が将来のパンデミックに役に立ちますから。
——キャリアを通じて政策へのインパクトを重視される姿勢が一貫しています。
仲田:アカデミアでの業績だけを追いかけるなら、もっと他の研究テーマを選んでいたかもしれません。でも、自分の強みは、理論と実社会をつなぐことにあると思っているので、そこに意味を見出しています。自分にしかできないことをやる。そこに、自分の研究者としての存在意義を感じています。
政策へのインパクトをより重視——今後はどのような研究に取り組む予定ですか。
仲田:パンデミック関連の分析を、英語論文の形にして記録に残そうと日々地道に取り組んでいます。内閣感染症危機管理統括庁の方々、他分野の研究者の方々ともときおり意見交換させて頂いています。形にして世の中に残すことが、次のパンデミックに備えるための貢献につながると考えています。10~20本ぐらいの論文になりそうです。
アカデミアの業績を最大化したいなら、コロナ禍の分析はむしろ全部捨てた方がいいくらいでしょう。でも僕は政策へのインパクトをとても重視しているので、たとえあまり有力ではないとされる学術誌であっても、論文としてきちんと発信していくことが、将来の僕の仕事が信頼していただけることにもつながると信じています。将来パンデミックが起きない可能性もありますから、無駄に終わる可能性さえある。でもここまでやったら、中途半端で終わらせたくないです。 何より、自分にしかできないことに取り組んだ方がずっと楽しいですよね。仮にトップジャーナルには載らないとしても、将来パンデミックが起こった時に少しでも社会の役に立てるように、地道に取り組んでいきます。
(取材・執筆 広野彩子=日経ビジネス副編集長/慶応義塾大学特別招聘教授)
関連ページ
教員紹介 | 仲田泰祐准教授
東京国立博物館よりインターンシップのご案内です。 希望者は下記リンクより詳細確認のうえ直接応募してください。
https://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=111
応募締切: 5月21日(水)
We will hold an Information Session on the Summer Internship Programs provided by the GraSPP office. For those who are interested in internship programs, please feel free to join the session. We will give you brief information about the programs and the application schedule, as well as tips for writing application documents.
Date: Wednesday, May 21st, 2025 Time: 12:30- 13:00 Place: IAR 12F, Seminar Room C Please apply for the session using the link below. REGISTRATION
Internship programs to be offered this summer (as of April 30th):
Asian Development Bank Institute (ADBI) (website) GR Japan (website) <TBC> Asian Productivity Organisation (APO) (website) <TBC> Institute for International Monetary Affairs (IIMA) (website) <TBC> Nihon Keizai Shimbun (website) OECD* (website) Trilateral Cooperation Secretariat (TCS)** (website)
and more...!
*OECD will have its screening process, which may take 2-3 months. We will conduct our internal screening process, and send a shortlist to the OECD for the partner institution application. **TCS application will have its screening process this year. Please check the details here.
Inquiries to; ppsupport.j(at)gs.mail.u-tokyo.ac.jp
在ドイツ日本大使館からのお知らせです。
在ドイツ日本大使館の専門調査員(気候変動に関する国際枠組等担当)1名を募集しています。詳細は、国際交流サービス協会の以下ホームページをご覧ください。奮っての御応募をお待ちしています。
https://senchohaken.ihcsa.or.jp/investigator_top/investigator_recruitment/
1.募集期間
【日程】2025年4月17日(木)~2025年5月15日(木)15:00(いずれも日本時間)
2.募集ポスト
【赴任月】2026年3月頃
【公館】在ドイツ日本国大使館
【担当事項】気候変動に関する国際枠組等
【試験語学】英語
【修士在学中の応募】可
【主な業務内容】
・気候変動問題に関する調査研究・分析
・ドイツの環境・気候政策に関する調査研究・分析
・気候変動に関する会合等の業務支援(会合への参加、交渉支援、宿舎等の手配等)
・在独の国際機関等との連携調整、邦人職員支援や邦人職員増強に向けた活動
・関連業務の対外発信、大型行事の業務支援その他の事務支援
3.一次試験(筆記試験)
【日程】2025年6月7日(土)10:00~13:00頃まで(2ポスト論文試験を受ける方は14:00頃まで)
4.二次試験(Web面接)
【日程】2025年7月3日(木)~7月11日(金)7/5,7/6は除く
2025年4月30日(水)は振替授業日のため、通常火曜に開講している授業を行います。 詳細は、以下のアカデミックカレンダーをご確認ください。
2025年度アカデミックカレンダー
国土技術政策総合研究所夏期実習に参加を希望する者は、各庁舎のWebサイトをよく読み、必要書類を公共政策学務チームにご提出ください。
提出先:2025国総研夏期実習応募 ※ご提出書類を確認後メールをお送りします。締切までにメールがない場合は学務チームにご連絡ください。
締切: 7月受入開始希望の場合 5月29日(木)正午 8月受入開始希望の場合 6月26日(木)正午
提出書類:つくば庁舎の場合:実習生調査表(様式1)Wordファイル 横須賀庁舎の場合:実習生調書(様式2) Wordファイル
注意点 ◾応募を希望される庁舎によって提出する様式が異なりますのでご注意ください。様式は国総研ホームページよりダウンロードしたものをご使用ください。 ◾実施概要等については、各庁舎のHPをご確認ください。 ◾採用決定後の辞退は、本学のインターンシップの採用に影響しますので、申請にあたっては十分に確認してください。
(変更前)国際学術総合研究棟 0414B
⇒(変更後)国際学術総合研究棟 SMBC