2025年6月13日(金)、公開オンラインセミナー「資産運用立国の現在地」を開催いたしました。本セミナーはZoomウェビナーによる完全オンライン方式で開催し、当日は資産運用業界の関係者をはじめ、大変多くの方々にご参加いただきました。
本大学院の川口大司院長による開会挨拶では、本セミナーのテーマについて、足もとの金融資本市場をめぐる政策課題に関わる時宜を得たものであると言及されたほか、本セミナーを企画した寄付講座「資本市場と公共政策」の寄付者であるみずほ証券株式会社に対する謝辞などが述べられました。
また、当初の予定に加え、本学の菅野暁理事(CFO)からも、日本経済の成長に重要な役割を担っている資産運用業の現状や足もとの課題に触れつつ、本セミナーが、参加者の皆様の洞察を深め、日本の資産運用業の未来に向けた有意義な議論の場となることを期待する旨の挨拶がありました。
オープニングスピーチでは、金融庁の井藤英樹長官から、資産運用立国の実現に向けた幅広い政策の全体像とこれまでの進捗状況をご説明いただくとともに、今後もブレずに改革を継続していくとの方針をお示しいただきました。
キーノートスピーチは、主に資産運用業の改革に着目してお二人にお願いしました。まず、金融審議会市場制度ワーキング・グループの資産運用に関するタスクフォース座長を務められた本学大学院法学政治学研究科の加藤貴仁教授から、「資産運用業の高度化」の意義を理論面から整理いただき、その必要性や今後の方向性を考えていく上で重要な視座をお示しいただきました。
続いて、日本を代表する資産運用会社の1つであるアセットマネジメントOne株式会社の杉原規之代表取締役社長から、投資家への良質な長期投資機会の提供や情報発信、投資先企業に対するリサーチ力の強化や企業価値向上の後押し、資産運用会社における経営資源の運用への集中など、広義の「運用力」の強化に向けた、同社の具体的な取組をご紹介いただきました。
パネルディスカッションでは、キーノートスピーチをご担当いただいた加藤教授、杉原社長に加え、本大学院の有吉尚哉客員教授(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業弁護士)と大崎貞和客員教授(株式会社野村総合研究所主席研究員)、資産運用立国に向けた主要な政策を担当されている金融庁企画市場局の齊藤将彦市場課長にも、パネリストとしてご出演いただきました。
具体的な論点として、①本年4月以降の相場変動・市場環境を踏まえた留意点、②資産運用業者の参入促進に向けた取組、③プロダクトガバナンスをめぐる課題と対応、④資産運用立国の実現に向けた今後の課題、の4つを取り上げ、パネリストの皆様に様々な角度からご見解を伺いました。パネリストそれぞれのお立場から多様なご意見をいただき、充実した議論を行うことができたと考えています。
当日は、運営側の進行管理の問題により予定時間を30分近く延長してしまいましたが、本セミナー終了後のアンケートでは、「主要な論点が網羅されており参考になった」「錚々たるメンバーの皆さまからの話は説得力があった」「パネリストの皆さんの話がわかりやすかった」「資産運用立国に関する規制・原則制定の背景が理解できて参考になった」「資産運用業に求められることを具体的かつ論理的に知ることができた」「業界の未来を考え、動き出している方々がいらっしゃることを知ることができ有意義だった」「ウェブでのセミナーで参加しやすかった」といったお声を多数頂戴するなど、ご好評をいただくことができました。
お忙しい中ご出演いただいた皆様に心より感謝申し上げます。そして、本セミナーがご参加いただいた皆様にとって有意義なものとなったことを願っております。
以下に当日使用された資料を掲載しておりますので、ご参照ください。
・オープニングスピーチ「資産運用立国の実現に向けた取組」
(井藤 英樹 金融庁長官)
・キーノートスピーチ1「資産運用業の高度化に向けた現状と課題」
(加藤 貴仁 東京大学大学院法学政治学研究科教授)
・キーノートスピーチ2「資産運用業の高度化に向けた具体的な対応」
(杉原 規之 アセットマネジメントOne株式会社代表取締役社長)
(齊藤 将彦 金融庁企画市場局市場課長 掲載)