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東京大学公共政策大学院 | GraSPP / Graduate School of Public Policy | The university of Tokyo

学生レポート

学生レポート

本当の“中国”を知ること

稲田啓輔

大学院最後の一学期を北京大学で過ごしました。短くも素晴らしい出会いに恵まれた有意義な時間でした。ここでは、先輩方がすでに仔細に報告してくださった大学でのことには触れず、私が旅行や日々の生活を通して感じた、“中国”という国家に対する印象を綴りたいと思います。

日本人の多くは中国に対して否定的なイメージを持っているかもしれません。ただ、それはメディアを通して伝わってくる中国の一部を源泉にするものに過ぎないように思います。私たちが思うよりも、遥かに多様で広大な“世界”が中国にはあります。人口14億人、国土は日本の約25倍、一つの国家にしてはあまりにも巨大です。そのことを痛感できただけでも、今回の留学は自分にとって価値あるものでした。

中国は一つの国家でありながら、一つの国家に収まり切らないほどの多様性を秘めています。いうなれば、欧州のドイツやフランス、スペインのように異なる国家が、中国という地域に集っているようなものかもしれません。北京語などをベースとした普通話が普及はしていますが、上海語や広東語など、各地域の方言には、別言語と言えるほどの相違が存在します。思想にも地域間で違いが見受けられます。例えば、北京では政治的に保守的な人が多い一方、上海ではよりリベラルな傾向があるように感じました。また、南方の広東料理は甘め、西方の四川料理は激辛など、食事の違いも顕著です。北方と南方では、肌の色や体格など、人々の外見の違いまで見てとれます。

中国と言えば都市化や工業化による環境汚染のイメージが強いかもしれませんが、美しく雄大な大自然を感じることもできました。張家界では奇岩が作りだすダイナミックな風景に圧倒され、九寨溝では透き通るように美しい湖と悠々と連なる滝に魅了されました。北京市内の生活では、日本より進んだ点に驚かされることが多々ありました。環境への配慮から無数の電動バイクやバスが路上を走り、太陽光発電は加速的に導入が進んでいます。また、「WeChat」や「Alipay」などのアプリを使った電子マネー、電子決済が普及しており、現金を持ち歩かずに支払いをすることができます。これは小さな個人商店やタクシーでの利用にとどまらず、友人同士の瞬時の清算を可能にします。友人との飲み会や食事、買い物の後では、こうしたアプリが大活躍していました。中国が有する大自然の美しさや、IT、環境技術の発展は、日本ではあまり認知されていない側面だと思います。

今回の留学をきっかけに、単純に中国の主張に迎合すべきという思いが高まったわけではありません。むしろ、対立の深さを思い知ることは少なくありませんでした。それでも、本当の中国を自分の目で見れば、日本で一般的な「中国は〜」という評価が、いかにぞんざいかがわかります。人間関係において、相手との問題を解決し、関係を深めるには、その相手を真に理解していることが必要条件であるように思います。これは国家関係においても同じなのではないでしょうか。安全保障や経済など、中国の存在は日本にとって極めて大きく、その傾向は更に増大していきます。そのため、これからの国際社会で日本が生きていくためには、中国への真の理解が不可欠だと言えるでしょう。その端緒となる経験を与えてくれた、キャンパスアジアプログラムに心から感謝いたします。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 九寨溝の湖と紅葉 OLYMPUS DIGITAL CAMERA 張家界の奇岩と猿